ティエラの過ち-3
そう言って彼女は急いで鍵束から鍵を探す。
この牢屋はそう大きくはなかった。全部で10個。うち2つは20人は入れる大きな檻、
あとは2、3人用の小さな檻だった。
ティエラが急いで鍵穴に鍵を差し込み、ギィィっと鈍い音をたてて鉄格子が開いた。
「それよりあんた、どうしてここに・・・?連れ去られたんじゃなかったのか?」
「説明は後で!今は早くここから出て!危ないわ。」
「危ねぇって・・・?それよりティアラも捕まっちまったんだ。
たぶんロイクと一緒にいる。」
「ティアラが?!」
ティエラは驚いた表情になる。
「あの子・・・ここまで一人で来たの・・・?」
「ああ。俺が村で一人でいるあいつに気がついて、連れてきてしまった。」
「そう・・・なの。」
「俺はティアラを探しに行く!あんたは逃げろ!」
「ダメよ!私も行くわ。」
「行くっつったて、あんた戦えねえだろうが!」
「このお城のことなら、なんでもわかる。案内するわ。」
「あ?なんだって・・・?」
「・・・私はここの姫だったのよ。」
ティアラの母親が王族出身だって・・・?
ラウルは言葉を失う。
「ロイクはたぶん・・・私の使っていた部屋にティアラを閉じ込めているんじゃないか
と思うの・・・。隠し通路から行ってみましょう。」
自分の庭のように、ティエラは隠し通路をスイスイと進んでいく。
ラウルはそれについて行くと、城内のどこかで激しく争う音が聞こえてきた。
(俺の仲間か?・・・いや違う。
もっと大人数で、鉄砲のような音も聞こえてくる。
何が起こっていやがる?)
狭い道を進みながらティアラの母親は、自分の生立ちを説明しだした。