ティエラの過ち-2
(こいつは誰だ・・・?)
ラウルは目を細めて女を見た。
何処かで見たような顔立ち・・・。
誰かに似ているような・・・?
そう考えていると、女の方がラウルの正体に気がついたようだ。
「・・・あなた、もしかしてラウル?!」
彼の記憶の扉が開かれる。
(この女、―――ティアラの母親だ!)
ラウルはティエラに向かってフッと微笑んだ。
(ティアラは俺の事すぐ気がつかなかったのにな・・・。)
「あんた、ティアラの母親か?」
「やっぱり!あなた生きていたのね!!!あの子ずっとあなたを待っていたのよ!
ずっと何処にいたのよ?!あなたの両親もずっと帰りを待っていたのに・・・。」
今にも泣き出しそうになるティエラに、ラウルはそっと呟いた。
「―――俺だって、出来る事ならあの村に帰りたかった。」
俯くラウルにティエラは彼にかける言葉を失ってしまった。
その時ラウルはティエラの手元に鍵束が握られていることに気がついた。
「話はいいから、ここから出してくれねぇか?」
「そう、そうよ!!早くこんな所出て、行きましょう!!早く。」