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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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ティエラの過ち-1

俺は過ちを犯した。
ティアラをここへ連れてくるべきではなかった。
まさか、ロイクの探している女があいつの母親だとは思わなかった・・・。

ティアラがロイクに連れて行かれた後、ラウルはこの地下牢へと幽閉された。
血なまぐさい匂いが染みついている。

数日前まで誰かもここに入れられていたようだ。
たぶん捕らえた女たちをひとまずここに入れ、
ティアラの母親がいないと分かれば彼女らを尋問して殺していったんだろう。

吐き気がする。

今夜、ラウルが洞窟に戻らないと、仲間たちがこのアジトに乗り込むことになっている。
その前にこの牢から出てティアラを探さねぇと・・・


偶然にもそう考えていたラウルに転機が訪れた。数分前からなぜか見張りはいなくなったのだ。


(どういう訳か見張りの奴ら、慌ててどこかに行っちまった。

俺が丸腰だと思って、見張らなくても大丈夫だと思ったのか?

見縊りやがって・・・。)



そう考えながら彼は靴底に隠してあった2本のナイフをそっと取り出した。


彼はどこかもろい壁や鉄格子の部分がないかと、辺りに触れていた時、
パタパタパタ・・・と歩幅が小さく体重も重くない人間の歩く音が聞こえてきた。
ラウルはパッと触っていた手すりから離れ、様子をうかがう。

すると頭巾をかぶった、見たところ女のような人影が、牢屋の入口にぬっと現れた。
急いできたのか、ハァ ハァと息を切らしている。

女は鉄格子の中をキョロキョロと見渡し、そして小さく呟いた。


「あぁ・・・間に合わなかった・・・。」


女はがっくりと肩を落とした。

しかし彼女は牢屋の片隅に身構えていたラウルが目に入ったようで、
すぐに檻に近寄って来た。


「あなた!あなたもロイクに連れ去られて来たの?!」


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