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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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サミュエルの秘密-8

「そんな俺に、親分はサミュエルという名前と盗賊として、
俺に生きる術を教えてくれた。

彼の仲間は全部で数十人の、小さな盗賊集団だった。

俺の体はみるみる回復し、もともと備わっていた脚力と腕力が、
盗賊としての生業に役立った。すぐに俺は親分の一番弟子に成り上がった。

親分は俺にとっての父親で、懐が広くてすぐに好意を持つことができた。
親分からは盗むもんは金に困ってなさそうな奴から頂戴しろ、
人は出来る限り殺すな。と教えられた。

盗賊なのに、変なポリシーがある所も、俺は好きだった。」


そうして彼はロイクを見つめた。


「ある日、俺たちが目をつけていた町潜り込もうとした時、
すでに町は跡形もなく滅びていた。見渡す限りの死体の山だ。
俺たちが町の中を歩き回っていると、ある男に出会ったんだ。

・・・そう、あんただよ。ロイク。」


ロイクはニヤッと笑みを浮かべた。


「あんたは親分に仲間にならないかと持ち掛けた。
同じ盗賊、仲良くやろうじゃねえか、ってな。でも親分は断った。
人殺しをやる盗賊なんかになりたくねえってな。
あんたは親分が背を向けた瞬間に切りつけた。」


彼の声が震える。


「あんたはすぐに俺にも剣を振り下ろしてきた。
寸でのところで俺は何とかかわしたけど、
代わりに俺が首にぶら下げていたペンダントの紐が切れた。

先についていた象牙が勢いよくあんたの顔にめがけて飛んでいった。
あんたが、それを掴むと表情が止まった。」


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