サミュエルの秘密-7
「俺はある村で生まれ育った。俺の父親は狩人で、
俺の夢は父のような立派な狩人になることだった。
でも、ある日俺は自分の力を試してみたくなった。
お前は吞み込みが早い、父親からそう言われていい気になって。
だから一人で獲物を狩って驚かせてやろう。そう思った。
幼馴染みが必死に止めるのを聞かずに・・・。」
そう言うと同時に、彼はティアラの顔を見た。
「彼女はこのペンダントをお守りとして俺に貸してくれた。
これは彼女の母親が彼女に渡したもんだ。」
ロイクが口をはさむ。
「へぇ、なるほどな。」
「俺は一人、森の中を夢中で駆けた。鹿を見つけたんだ。
絶対仕留めて見せると思った時、崖から足を滑らせて、そのまま落下した。
気がつくと俺は、洞窟の中にいた。偶然通りかかった盗賊が俺を助けてくれたんだ。
親分は俺にどうして倒れていたのかを尋ねたが、自分でも俺が何者か、
どうして崖の下に倒れていたのか全く思い出せなくなっていた。
俺が何者かを知る手がかりは、首にかけていたペガサスを模った象牙の
・・・このペンダントだけだった。」
ティアラは彼の話を聞き入る。
もうナイフが喉元にあることさえ忘れていた。