サミュエルの秘密-4
ティアラはびっくりして、サミュエルの顔を見上げた。
嘘・・・、何言ってるの?
男はうれしそうに同意する。
「それはいい考えじゃねえか。」
男がティアラの服に手をかけようとすると、サミュエルは制した。
「ただしこいつに指一本、触れるな。」
それから彼は彼女を見て一言だけ言った。
「自分で脱げ。」
「いやっ!・・・どうしてそんな事言うの・・・?」
ティアラの目に涙が溜まってくる。
「おい、女。早くしろよ。早く脱がねえと、この槍で切り刻んで裸にしてやるぜ。」
サミュエルは彼女を睨むような目つきで見下ろした。
さっきまで私たち抱き合っていたじゃない・・・。
私が他の男の前で裸になっても何とも思わないの・・・?
一気に彼に突き放されたような気持ちになる。
でも自分が服を脱がなければここから進むことは出来ない。
(やっとお母さんに会えるかもしれないのに・・・。
お母さん、早く会いたいよ・・・。)
ティアラはあきらめたように服に手をかける。
いとも簡単に布が落ち、見ず知らずの男の前で裸体を晒す。
「おぉっすげぇ・・・。いい体してやがる。」
男は生唾を飲みながら、彼女を舐めまわすように見て来た。
その場にいた数人の見張りの男たちも、近寄ってきて彼女の裸を眺める。
ティアラは恥ずかしさと屈辱から、サミュエルの方を見上げる。
目が合うと、彼は男たちに言い放った。
「こいつは何も持ってねえ。わかっただろう?」
「そっ、そうだな・・・」
堪らずに男はティアラに手を伸ばしてきたところで、
サミュエルが彼女の裸が見えないように抱きしめた。
「わかったんなら、もう終わりだ。」
そう言って素早く服を着せた。
ティアラの頬には涙が伝っていた。
耳元でサミュエルは他の男たちに聞こえないように囁いた。
「すまねぇな・・・。」
ティアラはサミュエルが自分に対して優しいのか、冷たいのか・・・
もうわからなくなっていた。