サミュエルの秘密-3
アジトの入口らしきところへ近づくと、
見張りをしている男が槍をこちらに向けて話しかけて来た。
「おめえら、何者だ?わざわざここまで来るとは、命知らずな奴らだな。」
サミュエルは怯むことなく返答する。
「俺の名はサミュエル、お前らの頭、ロイクに話があって来た。」
「・・・話だと?」
見張りの男は、もう一人の男に目くばせをすると、すぐにこちらを向き直した。
もう一人の男は、足早に去って行った。
きっと他の仲間たちに伝えに行ったのだろう。
「おい、女がいるじゃねえか・・・。その女はなんだ?ロイク様に献上でもすんのか?」
ティアラは母を探しに来たと言おうとしたが、サミュエルはそれを制した。
「これは俺の女だ。」
「ふん、いい身分だな。ここに女連れで来るとは・・・おい、女。
せいぜいそいつの傍を離れないことだな。一人になったら血に飢えた狼に喰われるぞ。」
ニタリと気持ちの悪い笑みを浮かべて、男はティアラの方を見た。
今にもこの男は、槍で攻撃してきそうだ。
ずっと槍の矛先がサミュエルに向かっているのに、彼は微動だにしなかった。
暫くすると、先ほど駆けていった男が戻って来た。
見張りの男に耳打ちすると、彼は槍をサミュエルから離した。
「お前とお前、入っていいぞ。」
見張りの男はサミュエルとティアラを指さした。
「残りは帰りな!」
サミュエルは目くばせをして、一緒にいた仲間たちを、
残りの待機している仲間がいる洞窟へと帰るように指示した。
ティアラとサミュエルは非道な盗賊のアジトへと、たった二人だけで足を踏み入れた。
「おっと、その前に・・・おめえらの持っている武器をよこしな。
ここから帰る時に返してやるからよ。・・・ロイク様がいいと言えばな。」
サミュエルは無言でそれに従い、剣とナイフ3本を見張りの男に差し出した。
男は念入りにサミュエルの体をチェックした。
どうやらもう武器は持っていないと確認すると、今度は私の方を見た。
「おめぇもよこしな。」
「私・・・持っていません。」
本当の事を言ったのに、男は信用しなかった。
「ふん、そう言って油断させる気か?虫も殺せねえような面して、
眉ひとつ動かさねぇで、首を掻っ切るかもしれねえ。」
そんな男にサミュエルは冷たく言い放った。
「そんなに信用できねえんだったら、裸にしたらどうだ?」