待ち人-3
「――――お前、女か?こんな所で何やってる?」
「あの、迷子になってしまって・・・。」
「こんな所で迷子か。仲間に置いてかれたんじゃねえのか?見たところ丸腰だな。」
ジロジロと大男は舐めまわすように彼女を見た。
(嫌だ、気持ち悪い・・・。)
「お、女じゃん!」
と大男の後ろで声がする。
「こんな所に女だって?!本当かよ?」
疑いと希望に満ちた男たちは馬を降りて、ティアラの存在を認めると歓声を上げた後、次々と話しかけてきた。
「うわっお嬢ちゃん!超可愛いじゃん!」
「本当だな!こんな美少女見た事ねぇや。」
「それにしても、こんな所で何やってんだ?一人ぼっちか?」
「迷子になったんだとよ。」
「迷子?可哀想に〜。でも、ここまでどうやって来たんだ?」
ティアラは正直に答えたほうがいいのか、誤魔化したらいいのかわからず、
黙ってしまう。
(どうやってこの場を乗り切ったらいいのだろう・・・?)
この男たちは身なりが整っていて、見たところ盗賊ではなさそうだが、
この人たちを信用していいのだろかと彼女は考え込む。
「黙ってちゃ助けてあげられねえぜ。」
「俺らはこの先の街に住んでんだ、一緒に連れて行ってやってもいいぜ。」
「なんなら、俺の家にでも来るか?」
「いや、俺の所にしな!こいつの家より広いぜ!!」
男たちはティアラを自分たちの街へと連れて行こうとしたが、
彼女は勇気を振り絞って断った。
「私・・・一人で大丈夫です!ちゃんと一人で道を見つけられますから、
もう行きます!」
そう言って、ティアラはサミュエルたちの馬の蹄が向かった方角へと、走り出した。