盗賊サミュエル-8
彼女は心の中で、こんな最低な奴と一緒にいるのは嫌だ。
そう思っていても、体は勝手に彼を求めてしまう。
もっと触ってほしい、もっと気持ちよくさせてほしい と。
矛盾する心と体にティアラは苛立ちを覚えた。
そんな彼女に気がつかないサミュエルは怒ったように言う。
「おい、早くしろ。もう行くぞ。」
彼は強引にティアラの腕を引いて、泉から引き揚げた。
「ボーっとすんなよ。」
彼は先ほどの行為を無理やりさせたのを悪かったと思ったのか、
ティアラの体を拭きだした。
―――とその時、サミュエルは手を止めたかと思うと、
短剣を素早く抜いて、小さな茂みに向かって投げた。
するとすぐに、茂みに隠れていた2人の男が慌てて姿を現した。
「わっ、お・・・お頭!!!」
「すっすす・・すいません!!!」
サミュエルの仲間の男らしい。
「―――お前ら、いつからここに居たんだ?」
男たちは焦ったように答える。
「あ・・あの、俺たち・・・お頭に病がうつったらと。心配で・・・」
「その・・・後をつけたんです・・・。」
取り繕うように言う。
「すいません!!!他の奴らに言いませんから!」
「ちっ誓います!」
この2人は彼らの後をつけていて、先ほどの淫らな行為も見ていたらしい。
ティアラは我に返って慌てて服を着る。
(やだ、どうしよう・・・。見られてただなんて!!!恥ずかしい。)
彼女がそう考えていると、サミュエルは淡々と言った。
「お前ら、俺を心配してついてきたってか?」
「はい!その通りです。」