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あるお伽噺
【ファンタジー 官能小説】

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旅の始まり-5

「着いたぞ。降りろ。」

サミュエルの声でティアラは我に返る。
彼らは馬から降り、いくつものテントが張ってある場所へと近づいた。

するとすぐに

「お頭、どうでしたか?」

という声が聞こえて来た。
どうやらサミュエルはこの盗賊のボスみたいだ。


「ああ、奴らはこの近くに現れやがった。村が一つ潰された。」

「チッ・・・またかよ。それで、例の物はまだ・・・?」

「ああ、直接奴らのアジトに向かうしかねえな。」

「奴らの数は、日に日に多くなってきやがってますぜ。」

「・・・仕方ねえだろ。行くしかねえ。」

「俺たちは頭について行きますぜ!親分の仇も取らねえと!!・・・ところで、」


子分の男がティアラを指さす。


「何すか? この小せえ奴。」

「ああ、ジャックだ。こいつは病にかかっている。
――が、役に立つと思って連れて来た。体中が爛れているから、
俺らが迂闊にこいつに触ると、病がうつっちまう。
こいつに近寄らないように、皆にも言っておけ。」

「へっ、へぇ・・・。」


おぞましいものを見るような目つきで、男はティアラをチラッと見て、去って行った。

それから盗賊たちはテントを片付け始め、出発の用意をした。
彼の仲間は全部で50人くらいだろうか。
盗賊でこの人数は、少ないのか多いのか、彼女にはわからなかった。

こうしてティアラの旅は始まった。


(本当にサミュエルを信用してもいいのだろうか。

本当にこの盗賊たちと一緒に行動して大丈夫なのだろうか。

本当にお母さんを助けられるのだろうか。)



ずっと不安が付きまとうけれども、疑ったところでティアラは一人では何もできない事をわかっていた。


(今、私にできることをしてみよう。)


そう決心してティアラは彼らと、旅立ったのだ。


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