旅の始まり-3
彼女の顔は赤くなった。
さっき、この男に裸を見られてしまった事を実感する。
ティアラは俯いてもたもたと着替えだすと、サミュエルは近づいてきた。
「・・・遅えな、手伝ってやる。かせ。」
彼は彼女の胸にサラシをグルグルと巻きだした。
ギュッときつく巻かれる。
「待って!!痛い!・・・苦しいの・・・。」
「しょうがねぇだろ!我慢しろ。」
息が詰まりそうになる。本当に苦しい・・・。
そう思っていると、彼はティアラの顔色を見て無言でサラシを緩め始めた。
「・・・ありがとう。」
ティアラはサミュエルにお礼を言ったが、彼は何も言わなかった。
サラシを巻き終え、ティアラの柔らかくて大きな果実を押しつぶした後、
彼女は渡された服に袖を通す。
彼はじっとティアラの顔を見つめた。
見られている事に気がついたティアラも、彼の顔を初めてじっくりと見た。
(よく見るとこの人、端正な顔立ちをしているのに、
どうして顔を髪の毛で隠しているんだろう・・・?
前髪を切ってもっとそのキレイな緑色の瞳を見せたらいいのに・・・。)
ふと我に返ってティアラはサミュエルに尋ねた。
「・・・あの、何か・・・?」
「・・・男に見えねえな。とりあえず髪の毛を束ねろ。」
ティアラは彼から革ひもを受け取り、肩まである髪の毛を一つにくくった。
「これからお前は男だ。名前は、・・・そうだな・・・ジャックとでもしとくか?
でもお前は誰とも口を聞くな。それから俺の仲間の前では覆面を被って過ごせ。
俺といる時だけ、そのサラシと覆面を取れ、いいな。」
「はい、わかりました。」
彼女に反対する権限なんてない。
彼に素直に従って、ティアラは布で目以外の顔を隠した。