滅ぼされた村-6
彼女が勢いよく立ち上がったその時、
ド ド ドドド・・・と何かがこちらに近づいてくる音が聞こえた。
地面がグラグラと揺れているような感じがした。
日も暮れて夕食の時間もとうに過ぎている。
おかしい、と思った時にはすでに遅かった。
何頭もの馬の走り回る音が辺りに響き渡り、
外から村人たちの悲鳴が聞こえてくる・・・。
盗賊だ、逃げろ!という尋常ではない叫び声が聞こえてきた。
両親は目を見合わせた。
噂話だと思っていた盗賊が来たのだ!
殺される!
すぐにティアラの母親は床板をずらし、人が一人入れるくらいの大きさの穴に、
ティアラを押し込んだ。
父親はすぐに玄関の扉に錠をかけ、斧を持って入口の前で身構える。
「あなたはここに隠れていなさい!!!」
「・・・二人は何処に隠れるの?!」
ティアラは青ざめた顔で、母親に尋ねるが彼女は返事をしなかった。
「嫌っ、いやだよ・・・私もお母さん達と一緒にいる・・・。」
ティアラの母親は自分の胸元にかけている、
いつも肌身離さず身に着けていた翡翠石を娘の手に握らせた。
「心配しないで、お母さんたちも逃げるから!」