それでもあなたに恋をする-33
「瑞希、喜んでくれるかな・・・・」
食事の準備を終えて、瑞希を待っている間ずっと美月はそんな事を考えていた・・・・
「瑞希、遅いわね・・・いつもはもう帰って来てるのに・・・」
心配になって何度も時計で時間を確認していた・・・・
「ただいま・・・・」
瑞希の声がすると、美月は慌てて玄関まで行って
「遅かったわね・・・・心配したんだよ・・・・」
「ゴメン・・・・ちょっと欲しい物があったんで寄り道してたんだ・・・・」
「ンもう・・・電話ぐらいしてよ!!」
美月は拗ねてみせた・・・・
「ゴメン・・・次から気をつけるよ・・・」
「約束よ!!」
「うん・・・・」
「ねぇ・・・お風呂にする?ご飯にする?それとも・・・・」
「美月さんがいいなぁ・・・・」
「いいわよ!!」
美月が目を閉じると、瑞希は美月にキスをした・・・・
「先に進みたいんだけど・・・・今はガマンしてお風呂に入るね!!」
「うん!それじゃ食事を温めなおすね!」
食事を終えて、瑞希か後片付けを終えると美月が風呂からあがって来た。
「美月さん、ちょっと話があるんだけど・・・・」
「なに?改まって・・・・」
美月は瑞希の前のソファーに座った。
「美月さん・・・・今日は約束の僕の二十歳の誕生日だよね・・・・だから改めて・・・・美月さん、僕と結婚して下さい・・・・」
「はい・・・・これからもよろしくお願いします・・・・」
美月は思わず涙ぐんだ・・・・そして
「私も瑞希に言いたい事があるの・・・・実は・・・・ここのところアレが来てなくて・・・今日、検査薬を買って来て調べたら陽性だったの・・・・病院にはまだ行ってないけど・・・・もしも、妊娠していたら産んでもいい?」
「あたりまえじゃないか!!」
瑞希は思わず美月を抱き締めた。
「ありがとう瑞希・・・・」
美月は幸せそうに笑った・・・・
次の日の朝、二人は両親の墓に結婚の報告に行った。
「お父さん、お母さん、私をお嫁さんにもらってくれる人をやっと見つけました・・・・ずいぶん遅くなったので心配した事でしょうが、この人が私が選らんだ旦那様です・・・・知ってると思うけど瑞希です・・・・年齢が離れているのでこれからは瑞希に棄てられないように努力しないといけないけど・・・・幸せになりますから心配しないで・・・・それと・・・まだはっきりとしたわけじゃないけど・・・・私のお腹には瑞希との赤ちゃんがいるかも・・・今度は元気な赤ちゃんを産むから・・・・お父さん、お母さん、産まれたら連れて来るから逢ってやってね・・・・」
美月はそう報告した・・・・美月の両親には瑞希が美月の子供だという事は内緒にしておいた・・・・
「まだまだ頼りない僕ですが美月さんの事は幸せにしますので安心して下さい・・・・」
美月は幸せそうに瑞希の顔を見つめていた・・・・
その後で瑞希の両親が眠る墓に行った。
「お父さん、お母さん、僕結婚する事になったよ・・・・相手は美月さんだよ・・・・お母さんは僕達の気持ちに気付いていたんだね・・・・だから僕達が間違いを犯す前に言ってくれたんだよね・・・・お母さんの言葉があったから僕達は凄く悩んだよ・・・・悩んで悩み抜いてそれでも美月さんと結婚したかったんだ・・・・許してもらえるなんて思ってないけど・・・・僕にはやっぱり美月さんしかいないんだ・・・・ゴメンなさい・・・・親不孝な息子で・・・・」
「先生・・・・申し訳ありません・・・・いい年齢の私が・・・・本当なら大人である私が瑞希の気持ちに歯止めをかけなければならないのに・・・・私のほうが夢中になっちゃいました・・・・先生にはお世話になったのに・・・・恩を仇で返す事になってしまいました・・・・それでも私は瑞希の事を愛しています・・・・一人の男性として誰よりも愛しています・・・・私は今世界中の誰よりも幸せです・・・・いつか瑞希にも私と同じくらい幸せにします・・・・そう約束します・・・・」
「お父さん・・・・本当にありがとう・・・・お父さんがいなかったら美月さんと結婚出来なかったよ・・・・」
瑞希は帰り際にそう話しかけた・・・
美月は空を見上げて考えてみた・・・・もしもあの時、子供を取り替えなくて瑞希と母子として出逢っていたらどうなったのか・・・・瑞希とは先生の子供として出逢って恋をした・・・・実の母子とわかってもその気持ちは変わらなかった・・・・今の私に、もしも瑞希と母子として出逢っていたらどうする?って聞かれたら迷わずこう答えるだろう・・・・『それでも私は瑞希に恋をする!!』って・・・・
「美月さん、どうしたの?空を見上げて・・・何か見えるの?」
「ううん・・・あっそうだ・・・・ねぇ瑞希・・・もしも、お父さんやお母さんの子供としてではなくて、私と母子として出逢っていたらどうする?」
「そんなの決まっているよ・・・・それでも・・・・きっと僕は美月さんに恋をするよ!!」
空は青くどこまでも高く澄み渡っていた・・・・