それでもあなたに恋をする-13
瑞希にとって天国のようで地獄のような1ヶ月が過ぎた。暑い日々が続き、当然美月も薄着になってくれば、瑞希にとって嬉しいハプニングがおきて来るようになった。タンクトップの胸元から胸の谷間が見えたり、風呂上がりの美月がバスタオル一枚巻いただけの姿を見かけたり、ロンT一枚で僕の前に座ってテレビを見ていた時は気になって番組の内容が頭に入らなかった・・・美月さんの股間に黒い物が見えたような気がして・・・・もちろんそれは、影か下着だと思うが、穿いていないのではないかと想像してしまって、大きくなったぺニスを隠すのに苦労した・・・・また、バスタオル一枚巻いただけの時に、落とした缶コーヒーを僕に背を向けて拾おうとした時にタオルの下から白いお尻が見え思わず声を出してしまった・・・・もしあのまま声を出さなかったら・・・・なんて想像して後悔したこともあった・・・・正直言ってもう限界だ・・・・いつ美月に襲いかかっても不思議じゃない・・・・例え襲いかかったとしても想像の中でさえ美月とひとつになれない瑞希なら目的
を達する前に果ててしまうだろう・・・・しかしそんな事をすれば美月と一緒にいられなくなる事はわかりきっている・・・・だからこのままじゃ・・・・瑞希は美月に真実を伝える事にした・・・・血を分けた母子である事を・・・・そうすれば、瑞希が母子である事でブレーキをかけているように美月も気をつけてくれるのではないか・・・・その時、下から掃除機をかけている音がした。
いつもは下の部屋が終わると瑞希の部屋も掃除機をかけてくれる・・・・瑞希は父の日記を広げて机の上に置いておいた。
美月は正直焦っていた・・・・考えられる誘惑を瑞希に仕掛けてみたが、瑞希は全くノッてこなかった・・・・もしかしたら自分に興味がないのでは・・・・と思ったりもした・・・・美月は思いきって瑞希がお風呂に入っている時に、偶然を装って裸で浴室に入ってしまおうと考えた・・・・そして、瑞希の反応次第で告白しようと・・・・本当は瑞希のほうから告白して欲しいのだが、瑞希からの告白はムリなような気がするからだ・・・・決めてしまえば心が軽くなった・・・・掃除をしていると瑞希が降りて来た。
「出かけるの?」
「うん!ちょっとね!」
「気をつけてね!」
瑞希を送り出してから、瑞希の部屋へと向かった。
「相変わらすきれいな部屋だわ・・・・」
瑞希の性格からかきちんと片付けられていた・・・学生時代の自分の部屋のほうが散らかっていたような気がするくらいだ・・・掃除機をかけている時に机の上に開いたままで本が置いてあるのに気付いた。
「珍しいわね瑞希が・・・・」
美月は何気なく本に視線を移すと、それは日記帳だった・・・・
「古い物よね・・・・」
悪いと思いながらも日記を見てしまった・・・・日付は瑞希が産まれた日だった・・・・美月は興味が湧いて来て、掃除機を止めて、日記に見いった・・・・
「うそ・・・・瑞希は私が産んだ子?」
美月は信じられずページをめくっていった・・・・
それは瑞希の父が書いたものだと疑う余地がなかった・・・・確かにあの時の両親には今でも腹が立っている・・・・産まれた子供が死んでしまったのに、笑顔を浮かべて良かったと呟いていたからだ・・・・
「だから瑞希を私から取り上げたの?」
自分にはあのまま瑞希を育て上げる自信はない・・・・あの両親の事だからどこかに養子に出してしまうかもしれない・・・・そう考えるとこのほうが良かったのかもしれないとも思うけど・・・・
今、思い返せば瑞希の父も母も美月が瑞希と一緒にいるのを拒まなかった・・・・むしろ嬉しそうに見ていた・・・・どこかに美月への罪悪感があったのだろう・・・・美月は日記を閉じて、目を閉じ大きく息を吐いた・・・・
「瑞希は知っていた・・・・だから誘いにノッて来なかったんだ・・・・私はなんて罪深い事を望んでいたんだろうか・・・・」
美月はそのまま立ちすくんでいた・・・・