第1話 面接-1
8月3日都内某所、うだるような暑さは厳しく東京は30℃を軽く上回る程の暑さに見舞われていた。外を出歩く通行人たちも、ハンカチで滴る汗を拭いながら目的地へと足早に急いでいる。
そんな熱気が外を漂う中、小峰葵はクーラーの効いたとあるオフィスビルの一室で1人ソワソワしながら、今か今かと待ちかねていた。部屋には椅子と机とテレビ、そして隅っこに観葉植物が置かれている。
「遅いなぁ、もしかして面接する前から不合格だったのかしら?」
葵は中学2年生の14歳。神奈川県S市内に住み同市内の中学に通っている彼女が夏休み中に知り合いもいない都内のビルにいるのは理由があった。
葵の父親は彼女が小さい頃に事故で他界しており、母親が女手一つで育ててきた。生活は苦しくはあったが、親子関係もよく不満は何一つなかった。だが葵も年頃の女の子。それなりにオシャレもしたいし、欲しいものも増えてくる時期でもあった。しかし毎月のお小遣いは決まっており、また母親の苦労も知っている葵はとてもお小遣いの値上げは言い出せなかったのである。
そんなある日、コンビニでファッション雑誌を立ち読みしていた葵の目に、ふとある広告が目に入った。
少女モデル募集。12歳〜18歳まで。面談あり。保護者許可不要。報酬応相談。
(株)ローリーエージェント
このあとに会社の電話番号が書いてあるだけの小さい欄だった。