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【フェチ/マニア 官能小説】

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コレクション-6

 わたしは思いがけない話に、思わず頬に手をあてて目を伏せた。
 ドキドキする。

「そういう表情もいいね。──彼氏と別れたあと、そういう関係になったひとっていた?」
「いえ……全然」
「そっか。こんなに可愛いのに、ホントもったいない」
「いえ……そんな、とんでもないです……」
「興味はないの?」
「えっ?」
「えっちなこと」
「あ……えっと……」
「Cocoちゃんって、ホント可愛いね。ごめんごめん。これってセクハラだね」

 ハヤトさんがからりと笑って言った。
 からかわれた──のかな。
 わたしはきゅっと下唇を噛むと、興味がないことはないんですけど、と挑むように言った。

「相手も機会もないだけで、別にまったく興味がないわけじゃないんです。わたしだって人並みに興味くらいあります」
「うん、そうだよね。ごめんごめん。意地悪言った俺が悪かった」

 ハヤトさんがカメラをテーブルに置いて、まるで子どもをあやすようにわたしの頭をぽんぽんと撫でた。

「……ハヤトさん、信じてないでしょ」
「信じてるよ。Cocoちゃんがその気になればだいたいの男は釣れるだろうしね」
「わたし、別に誰でもいいわけじゃないです」
「それもそうだね。じゃあさ、どんなことに興味があるの?」

 ハヤトさんがわたしの隣に座り、長い脚を組んで聞いた。
 わたしは少し考えてから、手首を縛られて攻められる……とか、と小さな声で言った。

「CocoちゃんってMなんだね」
「Mっていうか──M、なのかな……」
「まぁSじゃなきゃMだよね」

 ハヤトさんの目がわたしを見つめる。
 カメラを構えていない分、さっきよりも恥ずかしさが何倍にも増した。

「そういう写真もいいかも。ちょっと縛ってみようか、手首」
「えっ──え?」

 立ち上がったハヤトさんは、わたしの後ろにある背の高い造り付けの棚の扉を開け、上質そうなアイボリーのタオルを手に取るとその様子をソファから見ていたわたしの手首を後ろから抱きつくようにして頭の上に組ませて縛った。
 抵抗の隙もない、あっという間の出来事だった。

「手枷とかのほうが絵になるんだろうけど、まぁしかたないよね。うん、いいんじゃないかな。撮るよー」
「えっ……あ、はぁ……」

 ハヤトさんが近寄ったり遠退いたりしながらシャッターを切る。
 わたしはなんとも言えない妙な気持ちになった。
 こんなポーズ、今までしたことない……。

「んー、ちょっと表情が乏しいかな。あ、じゃあこれでどうだろう」

 ハヤトさんが独りごちながら、テーブルをわきに退け、部屋の隅にあった姿見のカバーを外してわたしの目の前に置いた。

「あ、いいね。いい顔してる。そうそう、そういう顔を撮りたかったんだよ」


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