星を数えて act.4-4
月子が私の手を不意に握った。走りながらも、月子の気持ちが伝わってきて、私は少し泣いた。
心が辛かった。
「じゃここで」
「うん、…元気出してね」
「ありがと」
いつもの十字路まで月子と一緒に帰った。あの時から、さりげなく側にいてくれている。
「じゃ」
こんな時にまでバイトに行かなくてはならないなんて、苦痛そのものだと思った。
だってバイト先には友希さんがいる。
今日の帰りもきっと崇は迎えに来て、それから━━……
「考えないの!!」
パァンと自分の頬を両手でサンドイッチした。
焦ったって辛いだけよ叶。
思い出してくれるまでゆっくり待つのよ。
ふぅっと大きく深呼吸をした。息を吐きおわると、前のように強い気持ちを取り戻せたような気がした。
「こんにちはー」
「こんにちは」
友希さんはもう仕事に入っていて、雑誌の整理をしていた。
「昨日は崇臣ちゃんと守ってくれた?」
サッと荷物を置いて制服を身につける。友希さんは、私の横にきて並んで立った。
「はい」
「よかったー、雨で車とか危なかったからね〜」
純粋に私の心配してくれている友希さんに、私はうまく笑えなくなる。
心配してくれてた時に、キスしてたってゆう罪悪感と優越感。
「今日も崇臣迎えにきてくれるから、途中から一緒に帰るといいよ」
ニコッと笑う彼女。
ニコッと一応なんとか微笑みかえした。
ピッ
「いらっしゃいませー」
どうやらお客さんがきたおかげで、私の無器用な笑顔を見る前にレジにとりかかったみたい。
「外のゴミ見てきまーす…」
とにかく、その“帰り”という時間が来るまでは彼女から離れていたかった。
ふと空を見上げると、真っ赤に燃える太陽がキラキラと輝いていた。
ざあっと風が吹いた。ゆっくりと風に髪がなびく。
「重いなぁ……」
そう感じたことなんて、今まで一度もなかったのに。