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星を数えて
【初恋 恋愛小説】

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星を数えて act.4-2

だって

だってそれは━━……


「それ崇がくれたネックレスだよ?」
「え?」
いつもなら“そんなわけねぇじゃん”とか言いそうなのに、今日はなんだか真面目に聞いてくれる。


今日が、チャンスなのかもしれない。


「崇から初めてもらったやつなんだよ。旅行のおみやげだって」
「旅行……」
「そう。引っ越してからもらったんだけどねーしかも崇に渡してもらったんじゃなかったし」
なんだか笑えてくる。
でも、崇にもらったものだと私は思ってるのよ?
「何でか崇は家に来てくれなかった。嫌われたのかなぁって思って、そう思うとお母さんに聞けなかったんだよね。しかも、“彦星さまが見つけてくれるまで待っていなくちゃ”とかたくなになってたから、自分から会いに行かなかったしね」
今おもえば、そんなこと関係なく会いに行けば良かったって思う。

そうひっそりと告げて、私は口をつぐんだ。

そうすれば、こんなにあの時の約束だけを頼りに、なんてことなかっただろうから。



……

てゆーか。

「…今日は話聞いてくれるんだね」

「…あ、何いってんだよ〜俺だってたまには真面目ちゃん出来るっつーの」
ハッと我に返ったみたいで、いつものように軽く振る舞うけれど、少し照れているのが目に見えてわかった。
「あ!ねぇ崇」
「あー?」
カチッとライターに火をつけて、すかさず煙草を吸いはじめる。“あー”と言う声とともに、煙が口からもれていて、もうすっかりいつもの崇だった。
「そのネックレス、崇にあげる」
「は?」
何いってんだよ、と煙草を一口吸う。そんな彼の手に、ネックレスを握らせた。黄色のビーズと小さなたくさんの星の飾りのついたきらきらのネックレス。
「もしかしたらそれで思い出せるかもしれないじゃない!それでその時は、次は崇が直接私にネックレス渡して?」
「ちょっ勝手に決めん」
「約束ね!!」
彼が返答する前に彼の拳の中にそれを詰めこんだ。
「……帰るわ」
「ん」
崇が呆れたように呟いた。
もちろん、ネックレスは握ったまま。

「約束だよー?」
何も言わずに、彼はこの部屋を後にした。

でも、その背中が、仕草が“はいはい”って返事してくれていた。

ネックレスをポケットに突っ込むその姿で。


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