Can I help?-1
「私はコントロールなんかされていないから。大丈夫」
乃恵は穏やかな口調でそう言った。
「でもっ!」
「大丈夫」
「でも乃恵ちゃんっ」
「黒幕は、これ以上何も言わないで・・・」
静かにじっと見つめて、そんな言葉を静かに発した。
「え?」
「白木君が黒幕なんでしょう?」
「・・・・」
「私、知ってるのよ」
「乃恵ちゃん?俺が?何の黒幕?」
「白木。ここ数回、大勢なのをいいことに乃恵を誘い出してるよな。その事」
と、俺が言うと
「え・・・」
と白木はそれ以上何も言えなかった。
「乃恵。帰るぞ」
そう言って俺は乃恵を店内に誘いだした。
それまで我慢していたけど乃恵の「黒幕」発言に笑いをこらえきれなかった。
「乃恵。白木が黒幕って何の黒幕か分かったのか?」
「いいえ。でも山田先輩が言っていたので」
「意味分からないで言ったわけ?」
「はい。でも、そう言えば大声を出さなくなるかな?と思って」
なるほど・・・・
「すみません。わざわざお迎えに来てくれたのに
あんな騒ぎになってしまって」
「いや。いいんだ」
白木の言う事はあってる。
乃恵が純粋すぎるからって、あまりにも交友関係に口を出し過ぎてる。
それはよく分かってる。
「俺が・・・あまりに口を出し過ぎていると思ってたらごめん。
乃恵が心配なだけなんだ」
「分かっています」
「でも結局、愛なんか信じていない俺が
乃恵のデートや交友関係を色々口を出すのは、余計なお世話なのかもしれないな」
駅まで歩きながら思った事を少し話した。
「そんなこと言わないでください」
今まで隣に歩いていた乃恵が立ち止まってうつむきながら
小さい声で言った。
「乃恵?」