初恋はインパクトとともに ♯５／魔法の言葉-1
《主な登場人物》
・朝比奈 茜…
平凡フツーな男の子。中学生のくせして一戸建てに一人暮らし。羨ましいんだかなんだかね〜な中学三年生。ちょっと暗い過去を持ってたりするが彼なりに前向きに生きてるみたいなんで応援してあげて下さい。
・竜童児 晶…
人類最強竜童児家の末娘。気が強いんだか鈍感なんだか…古風な感じの女の子、中学三年生。銃刀法違反もなんのその、愛刀『一式・竜薙』をいつも持ち歩いている。
アカツキとアサヒとバカ二人…
♯５／魔法の言葉
あぁ…いない！いない！！いねぇ〜！！！
かれこれ二時間以上は探してんだけど見つかんない。
探しても会えないことなんてしょっちゅうあったんだけどもさぁ…何か今日は違うんだ。いつも以上に落ち着かない。気が焦る…
まあ、昼間十分な時間を共に過ごしはしたんだけども…
今日はもっかい会わないとダメなんだ。
どうもしっくりこないんだ……
そう、あの言葉を交わさないと。
ったく…
ちょっと待っててくれてもいいんじゃないか？
配慮が足りないというか何というか…
とにかくアカネが悪い！…そう思わないか？
コホン…のっけから愚痴って申し訳ない。
確かに昼食後は何だか気まずくなってしまったんだが…大会が終わってみればこれだ…せっかく会えたというのに。私が悪いんだろうか？
だけど、今日中に会わないと…会えないと…あの言葉を交わせないと…あの言葉を交わさないと…不安なんだ。もう会えないんじゃないかってさ。
かれこれ数ヶ月の付き合いになるのに何で連絡先の一つも交換しないのか…八雲によ聞かれるんだが。
それはその……言わなきゃならないのか？
『また会おう』
最初は軽い言葉でしかなかったんだ。ただの口約束にすぎなかった。
だけど、会う度に彼の存在は私の中の何かを変えていく…別に特別容姿が良いわけでもなく、とくに性格が良いわけでもなく、とくに優しいとかいうわけでもない…何かちっぽけな男なんだが、なぜだろうか…何からしくないとは思うんだが、その…彼と接していると私は何か可愛くいられるんだ。素直でいられるというかさ。
だったら尚更だって？
だからこそなんだ…これは私の験担ぎ（げんかつぎ）みたいなものだ。
そう、もし彼と私がそういう…うぅ…まぁ何だ…きっと会えるはずだと、そう思いたいんだ信じたいんだ。
バカだなって思うよ。もしかしたら、とっても幼稚な行いかもしれない…だけどこれだけは譲れないんだ。
だって私たちは……
そういう運命だと信じたいから…なのだろうか？
やはりよく分からない…