Scene 5-1
今日も1日が慌ただしく過ぎていった。
ただ、日中は何となく身体が重く、いつものように仕事に集中できなかった。
近くのスーパーで夕食のための食材を買い求め、マンションに着いたときにはもう日はとっぷりと暮れていた。
郵便受けを覗いた香織は、1通のゆうメールに気づいた。
差出人は…辰巳正浩…
「部長?…」
部屋に上がり、服を着替えるのももどかしく封を切る。
万年筆の達筆な字で書かれた1通の手紙と、1枚のディスク。
芹沢君
昨日は食事に付き合ってくれて、ありがとう。
久しぶりに楽しかった。
きみの屈託のない笑顔は本当に素敵だ。
今日もきみの働く姿を遠くから見ていた。
きみを自分のものに出来る柳本君を心から羨ましく思う。
もしよければ、これからも時々付き合ってくれると有り難い。
婚約おめでとう。
辰巳
胸の中に妙なざわつきを覚えながら、香織はパソコンにディスクを挿した。
これっ…て…
うす暗い、たぶん、ホテルの部屋…
クイーンサイズのベッド…
ベッドの上に服を着たままこちらを向いて座っている、私…
ワイシャツ姿の部長が、ベッドの上に座る…後ろから私を抱きかかえる格好で…
部長の手でジャケットを脱がされ、ブラウスのボタンが外されていく…
時折、私はとろんとした目でカメラを見つめる…
眠っているわけでもなく…
ブラのカップをずり上げられ、部長の指が私の乳首をつまむ…
「はぁっ…。」
画面の中で私の口が酸欠の魚みたいに、開く…
片手で乳首をつままれたまま、片手で右足を持ち上げられる…
操り人形のように、部長のなすがままにされている私…
スカートがめくれ上がり下着が見えているのに、気にかける様子もなく…
薬?…ただのワインなんかで、こんなふうになるはずない…
全身の毛が逆立つような、吐きたくなるような、恥ずかしさと嫌悪感…
混乱したまま画面を見つめ続ける…
部長の手がスカートの中に潜り込む…
眉間に皺を寄せ、何かに耐えるように首を小さく振る、私…
その顔を掴まれ、後ろに向かされる…
部長の顔が私の顔に被さる…
長い、長いキス…
キスを受けながら、私の手は部長のワイシャツを握りしめている…
やっと、口が解放される…
背中を押され、ベッドの上にうつ伏せに倒される…
ストッキングとパンティを、剥ぎ取られる…
いや…こんなの、絶対いや…
画面の中の私は、ベッドに顔を埋めたまま…
お尻を高く、差し出すように掲げたままで…
部長がスカートをめくり上げ、ズボンのジッパーを下ろす…
後ろからペニスをあてがわれると、私の肩がぴくりと震える…
いや…やめて…なにこれ…
頭の中でどんなに叫んでも、画面の向こうには聞こえない…
部長が腰を動かし始める…
「…んっ…んっ…くっ…。」
断続的に漏れるくぐもった、私の声…
部長が、画面を通してこちらを見つめている…
笑っているのかいないのか、分からない目で…
単調なリズムで続く責め…
「んっ…あぁッ…。」
私の口から漏れる声の質が変わる…
「はぁッ…あ…んっ…。」
後ろから責め続けられながら顔を上げた私の視線は、定まらない…
どこか、呆けたような顔…
見たことのない、自分の顔…
「あぁッ…あぁっ…あんっ…。」
顔色一つ変わらない部長と、錯乱したように首を振る私…
…やめてっ…
いつまでも続く、単調な責め…
喉がからからなのに、何かに魅入られたように、画面から目が離せない…
「あんっ…んっ…んっ…あぁっ‥。」
揺すられ続ける私の口から声が止まらない…
…壊れる…このまま続けられたら…壊される…
開いた口から透明の糸を引いて涎が垂れ落ちる…
「あぁぁぁっ…あぁっ…。」
…だめっ…やめてっ…おねがい…
部長がカメラの前に回り込んでくる…
そそり立ったままのペニス…
髪の毛を掴まれ、口にペニスを押し込まれる…
涙と涎でべとべとの顔…
赤黒く怒張したペニスが私の唇を押し広げている…
カメラの前で、部長の指が私の体液と唾液で濡れたペニスをしごき始める…
先端だけを私の唇に咥えさせたまま…
私はうつろな目で部長の顔を見上げている…
てかてかに光る亀頭が私の唇に擦りつけられる…
ルージュがぼやけて滲んで見える…
「っう…ぅぐっ…。」
深く刺されて咽せる…
画面を見つめる私の口にも、唾液が溜まってくる…
「出すぞ…。」
かすかに笑いを含んだような、部長の声…
頭を揺すられながら部長を見上げる私の目…
「…んっ…んーッ…んんっ…。」
ゆっくりと頭を揺すられながら、私の喉が何度も上下に動く…
飲みきれなかった精液が唇の端から溢れ出し顎を伝ってぽたぽたと垂れ落ちる…
…ゴクッ…
ぷつんと画面が切り替わる…
素裸の、部長と私…
目を閉じて無心に部長のペニスを口で愛撫している、私…
部長の足が、ベッドの上に正座した私の両膝の間に割り込んでいく…
眉間に皺を寄せ、頭を揺すられている、私…
生白い太ももの間に、浅黒い足が挟まっている…
「んっ…。」
苦しげな表情で口の端から唾液の糸を垂らす私の両膝が、かすかに開く…
筋の浮き出た剛直を小さな口に受けながら、足の指で遊ばれる私…
「ぅんっ…。」
…あぁ…
両手で部長の腰に掴まった私の腰が、小さく揺れている…