俺と付き合って下さい!-3
高い声、気合の入った声が入り乱れる体育館。
巴ちゃんが所属するバレーボール部では近日大会が控えているようで。私は様子を兼ねて
応援をしに来た。
「うわっ!」
「どんまい伊吹さん!」
「すいません!」
絶不調なのかな?、私は口を大きく開き声援をあげようとする。
「あっ、ここに居たのか。」
「!佐伯…君。」
突然やって来た彼、少し驚いたけど振り向いて。
「……。」
その様子をコートの中で練習中にも関わらずチラッと見かける巴ちゃん。
「なぁ!この後映画に行かないか?」
「え…、今から?」
「あーいや、それ終わってからでも。」
「でも、私は。」
揺れる心、そこに情け容赦のない一球のボールが彼の肩に命中する。
「さ、佐伯君っ!?」
「う……。」
肩を抑え、苦しそうに片目を瞑り、そこに。
「あーらぁ、ごめんなさいねぇー、うちの子に変な虫が飛び回っていたもんで。」
妙に嫌味な口調でボールを拾いにやってくる巴ちゃん。
「おまっ、今ワザと。」
「何してんのよ…。」
「いや、何って俺はただ。」
険しい顔が更に深まり、害虫から身を守るかのように私の肩を掴み、彼から距離を遠ざけ
「彼女から聞いたよ、この子と一緒に帰ろうとしたり、外食に誘おうとしたんだって?」
「そ、そーだよ!悪いかよっ!?」
「最低…、若葉、向こうで応援して。」
「と、巴ちゃん。」
「何が、おいっ!」
そう低い口調で言い、私を半ば強引に反対側に腕を掴み移動させ。
彼の必死な呼び止めにも何も答えず替わりにガンを飛ばし。
「何なんだよ…。」