淫靡なる楽譜-3
こちらから見て、
女―――シフは顔を目の前の男に近づけ微妙に角度を変えている。
男―――ナイトハルトの方はそれに応えつつ、自らの両手を前方に回している。ただ彼の周りにある布団の前掛けやシフの身体のために、両手が何をしているかまでは見えない。
やがてシフが両手を
相手の背中へと回しつつ自らの上体を相手の方に押し付けた。
ナイトハルトの背中を這うようにして10本の指がゆっくりと動いていく。
ナイトハルトも姿勢を変え身体の位置をずらし、両手をそのまま相手の脇の間から背中へと回したようだ。
それまで唇を相手に押し付けままだったシフが、時折りのけぞるようにして喉を天井に向かって反らす。
目を瞑り、あえぐような仕草で唇を半開きのシフ。
見ればシフが身に付けていた薄いドレスは胸元から腰付近にまでずれ落ち、
彼女の両肘付近で辛うじてひっかかっている状態になっていた。
ディアナの位置からはナイトハルトの背中が邪魔となり直接見ることはできないが、恐らく胸元付近も露になっているのだろう。
夫の頭がシフの胸元に押し付けられ微かに微妙に揺れ動くたびに、
シフの上体は前後に揺れ、
半開きの口から今まで聞いたことのないような甘い喘ぎが漏れるようになった。
“ああ・・・・ハァ・・・”
“・・・・ぁあああ・・”
やがてナイトハルトの身体が股がっているシフをしっかりと抱きすくめたまま、
そのままの体勢で横倒しにベットの上に倒れこんだ。
そのため覗いている場所からは、2人の姿が毛布や上掛けに隠れて黒い塊のような形でしか見ることができなくなった。
やがて重なったベールの向こうで、男の黒い影が右側面を見せる形でムクリと起き上がった。
その視線は下に組み敷いているであろうシフを見下ろしている。
やがてその姿勢のまま、
男の影が前後に動き始めた。