淫靡なる楽譜-20
「・・・・ぁぁ」
思わずディアナの口からため息が漏れる。
無意識のまま、右手が唇の縁から顎、喉、鎖骨。
そして上向きに自らの存在を示す赤い乳首から乳房。
腹から括れた腰へ。
指先の感触が下へ下へと下がっていく度に、
鏡の中のディアナは何度か唇を開き白い歯を見せる仕草を見せた。
脳裏に浮かぶのは夫ナイトハルトでもなく、
いわんや弟夫婦の顔でもない、全く別の男の顔。
彼女の肉体が理性とは別に既に男を欲し始めていると言うことの証なのか―――――
££££££££££££
物思いの中で、いつしかディアナの右手が下腹部の金色の茂みにまで到達していた。
―――ザワザワ・・・・
―――クチュッ・・・・
「ン・・・・・・」
人差し指と中指が茂みを掻き分け掻き分け、
彼女の薔薇の中央に差し入れられた時、
彼女は左手を壁に添えて上体を支えつつ、
目を瞑ったまま天を仰いでいた。
―――ニュチュ・・・ジュプ・・・・
指先を少しずつ奥へ奥へと沈み込ませながら、
ディアナは脳裏に浮かぶ男の姿に意識を集中していた。
『・・・・恥ずかしい。こんなに男のことが待ちきれなくて、自分で・・・なんて』
無意識のままゆっくりと進んでいく2本の指も更に奥へと沈みこんでいく。
今の彼女の中に唯一存在する男の姿が、
裸のままでシャワー室に立ちすくんでいるディアナの脳裏一杯に広がっていく。