淫靡なる楽譜-13
「ァァ・・・ァアア・・・・・」
「クスクス・・・さあ、無理をせず何事も貴女の本能のままに・・・・」
リズム感のある緩急つけた詩人の指の動きに、ディアナの口は半開きになり、もはや限界が近づいていた。
そして、
「ください・・・・」
「え・・・・?」
「ください・・・あなたの指・・・いえ、もっともっと逞しいものを・・・早くぅ・・・くださいぃぃ・・」
ディアナの口から初めて哀願の言葉が漏れる。
それを聞くや詩人は嬉しそうに微笑んだ。
「かしこまりました、ディアナ様・・・・・」
「 !! あぅぅっっ!!!! 」
詩人の指がディアナが感じやすい部分をぐっと刺激した。既にそれに気付きながら、この瞬間を待っていたのだ。
途端にディアナの背骨に甘さを伴う電流が流れ、思わずディアナは弓なりに背を反らしビクッと体を痙攣させて果てた。
心地好い脱力感に身を委ね椅子の背もたれに体を預けるディアナ。
ハァハァと息を荒くしつつゆっくりと目を開けると、正面に終始表情を変えない詩人の笑みがあった。
「素晴らしい・・・私の見込んだ通りの反応をしてくれる方だ。
だがこれではまだまだ1小節。
ここから続きはまだあるのですよ。」
ぐったりと俯く彼女の顎が詩人の手によってゆっくり持ち上げられ、
彼女の半開きになった唇に、詩人の唇がゆっくりと近づく。
虚ろな眼でそれをぼんやりと見つめるディアナ。むしろ彼女の方はそれを望んでいるかのような風情でもあった。
そして、
「んん・・ぬふ・・・・」
「・・・んは・・・はぁ 」
二人の唇は重なりあい、その隙間から荒い息づかいが漏れる。
ディアナにとっては夫以外の男と交す初めてのもの。しかし詩人のそれは、夫のとは比較にならないくらい濃密で生々しく、そして巧い――――
―――レロ・・ンチャ・・ピチャッ
舌を絡ませあい、水音を響かせながら詩人は椅子に座るディアナに覆い被さっていく。彼の右手がディアナの金髪を後ろから巻き取り、より双方の顔を密着させてくる。
ディアナの手が自然と、本能的に詩人の背中に回された。