淫靡なる楽譜-11
そんなディアナの耳元に唇を近付け、更に詩人が囁いてくる。
「ですが、この新曲は実は全てを演奏してはいないのです。“最終章”がまだ残っているのですよ・・・」
右手の動きを止めることなく、詩人の左手がドレス越しにゆっくりと下半身に降りていく。
意識が朦朧となりながらもディアナはその動きを感じていた。
「最終章・・・・?」
「はい、ディアナ様。・・・・この最終章、実は私のリュートでは弾くことができないのです。
この曲を奏でるに必要なのは・・・そう、対象となる“女体"。
即ちディアナ様ご自身が、“楽器"となっていただかなくてはならないのです・・・・・・」
詩人の甘い囁きは続く。
「これを“弾くこと"で我が新曲は漸く完成を見るのです。・・・ディアナ様、宜しいですか?」
詩人の両手がドレス越しに、それぞれのディアナの肉体の部位を愛撫していく。
目を瞑り天井を仰ぎ見つつディアナは悶えた。口からは僅かに溜め息が漏れはじめた。
「はぁ・・・はあぁ・・・・・んっ・・・ 」
「 ・・・ふふっ、それでは奏でさせていただきます。“乱れゆくディアナ" 最終章を。」
「だめ・・・やめて・・・・・はあ・・・ 」
彼女の中で理性の残りかすが最後の抵抗を試みる。 だが詩人はディアナの必死の懇願を聞き流し、その技をもって彼女を肉欲の世界に引きずり込んだ―――
彼の眼が妖しい光を帯びていく。
その指が舌が動き出し、
新たな“楽器"で弾き始めた。