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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-28

 3日で、10回。うん、こりゃすごいわ。
(はちきれんばかりの欲望を宿した青少年は、木の洞(うろ)にさえ欲情するって、言うけれど……)
 どうしてだろう。そんな気が全くしない。
いま、ひとみと歩いている歩道のそばにある雑木林には、無数に洞がある。が、それは自然の洞以外の何ものにも見えない。あれから、女性器を連想して、欲情することなどできもしない。
(今の僕には……)
「どうしたの、林なんか見てさ」
「………」
「あっ、やらしーの。洞?」
「……逆」
「………」
 さすがにひとみも、勇太郎の疲れきっている原因が、自分にあることを否定できない。
 結局、昨夜も勇太郎の部屋に泊まりこみ、身体を3度も重ねてしまった。
 それでも、ひとみの身体は燃え尽きなかった。
(だって、やっぱり勇太郎、味気ないんだもん)
 烈しい情愛に憧憬を抱き始めた身としては、いかにももどかしい。しかし、冷静に考えれば、自分の方が異常だとは思うのだが。
 少しだけ、不安がよぎる。
(このままでは、勇太郎に愛想を尽かれてしまう。もっと、勇太郎と別のことで交流を深めよう)
 という、ひとみの心のやり取りが導き出した答えは、夏休みの課題を共に片付けることだった。頭を使えば、少しは淫らな欲望も、抑制できるのではないだろうか。それに、毎夜毎夜、奮発させてしまっている勇太郎に、お返しも必要だ。
(今日は、いっぱい、勇太郎に勉強を教えてあげよう)
 それで、いっぱい愛してもらおう。そんな思いもあったことは事実だが……。
「酔狂ナノデショウカ、ワタシタチハ」
 自嘲気味に呟いたのは、勇太郎。学園の図書館は、クーラー完備にもかかわらず、人気がほとんどなかった。
 まだ夏休みは前半である。従って、今から課題に手をつけようとする生徒は少ないのだろう。
「今のうちに、嫌なことやっておけば、後からいっぱい遊べるよ」
 えっちなことも含めて……と心中付け加える。
「先に、なにする?」
「数学だよ。あてにしてます」
「うん。数学はね、得意だよ」
 そうなのだ。ひとみは、学校の成績もなかなかに良いが、特に理数系は学年でもトップクラスの実力者だ。かたや、勇太郎は、成績こそは中ぐらいだが、理数系は致命的なほど苦手である。さきの、補修代わりに出された課題も、ほとんど答えを間違っていてめでたく再提出と相成り、夏休みの課題が増えてしまったのだ。
「こんな、味も素っ気もない問題。よく解ける気になるよな……」
 ため息をつく勇太郎。数式を見ただけで、気が滅入る。勉強開始10分にも満たないうちに、勇太郎は戦意を無くしていた。
「こらこら、勇太郎。しっかりしなさいよ。明日は、プールに行くんでしょ」
「あ、ああ……そうだね」
 ひとみの励ましと教示を受けながら、勇太郎は課題と格闘していた。今日さえ乗り切れば、明日はひとみの水着姿が……。悲しいかな、男の性(さが)。下心120%配合で、やる気というものを勇太郎に充填した。
(裸は見ているのに)
 我ながら、節操がない。これが、若さというものか。
 勉強は進んだ。思いもよらず、滞りなく進んだ。ひとみの教え方も上手だったのだろう。これほどまでに、数学の問題がさくさくと解けたのは、初めてのことだ。
「カ・イ・カ・ン」
 勇太郎は、恍惚とする。
「感謝してよね」
「それは、もう」
 とりあえず、勇太郎は数学で予定していた分を終わらすことが出来た。ひとみのほうも、勇太郎につきっきりだったわりには、進みが早い。
(いつ、問題を解いてたんだ?)
 と、思うほどに、ひとみの解答時間は早かった。
 昼食は、ひとみが作ってきた弁当を、中庭で食べた。真夏ということもあり、保存に関して問題があろうかと思ったが、学内図書館はクーラー完備だ。加えて、なるべく傷みのない野菜やチーズを挟んだサンドイッチだった。さすがは、ひとみである。
 午後の部に、移った。
「う〜」
 問題集を前に唸っているのは、ひとみである。開かれているのは、古典のテキストだ。
 成績は満遍なく優秀なひとみだが、唯一、古典だけは不得手だ。この、独特な文章と言い回しのリズムが自分に合わず、内容を理解できないのがその理由。
 今回の勉強会は、お互いの苦手なものを用意していた。


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