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Overtake goodbye
【姉弟相姦 官能小説】

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〜再会〜-6

「寒い……」

 吉川と、繁華街に繰り出した日から一月余りが経ち、朝の空気が凍みる季節を迎えた。
 身体の芯から冷える寒い季節は、厳しい日射しや茹だる様な暑さと比べる迄も無く、俺が最も苦手な季節である。

 とりわけ、仕事を終えて塒(ねぐら)に帰り着いた時、真っ暗で誰も居ない部屋の寒々しさは、形容し難い程だ。
 そんな状態が続くと、やがて心が堪え切れず、誰かしら求めてしまいそうになる。人肌が恋しいと感じてしまうのは、俺だけの感情では無いはずだ。

(こんな時、お袋に見合い話を持ち来まれたら、思わず乗っちまいそうで怖い……)

 しかし、亜紀との関係を普通の姉弟に戻すと言う観点で考えれば、結婚と言うのも有効な手段の一つだ。

(いや……これじゃ、結婚を逃げ場にしてるだけだ)

 こんな利己的な考え方は、相手に失礼過ぎる。それに、もし一緒になったからって、直ぐに、お互いの心が離れてしまうだろう。

(そうやって結婚を否定しながら、その実、また亜紀との関係を結びたいだけじゃないのか……)

 未だ、覚めやらぬ頭の中で、二人の俺が論争を展開し始めた。一つの人格がコインの裏表の様に、相反する意見で衝突を繰り返す。

「何だ、これは!馬鹿々しい」

 俺は、跳ねる様にベッドから起き上がった。
 朝っぱらから、こんな妄想紛いに浸っていたら、余計に気持ちが沈んでしまう。

「くそッ!本格的に冷えるな」

 昔は一年中、半袖シャツ一枚で寝ても平気だったが、さすがに、三十歳を目前にすると抵抗力の衰えは否めない。仕方なくワードロープの中を探り、仕舞っておいたトレーナーに袖を通した。

(せっかくの休みと言うのに、朝から気分は最悪だ)

 二週間ぶりの休暇──。こんな時こそ、外でのんびり過ごして気分転換を図るべきだろうが、残念な事に、洗濯物や洗い物等が溜まったままで、洗ってもらうのを心待ちにしている。

「とりあえず、洗濯機を回しといて、朝飯にするか」

 日頃、帰宅が遅い故に、食事は殆ど外で済ませるのだが、酒や飲料水、それと、稀に食べるインスタント食品等に使う食器類が、流し台を所狭しと占拠している。同様に、洗面所兼用の脱衣場も、下着や靴下、カッターシャツ等の服が、脱衣籠に積まれたままだ。
 俺の採るべき行動は、それらを綺麗にして、再び“人間らしい居住”を取り戻す事だ。

「先ずは、洗濯だな」

 俺は寝室から、廊下を進んで洗面所へ向かった。






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