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それでも上書きしたい体
【学園物 官能小説】

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1話 実験開始-1

その当時は考えもしなかったのだ。

自分の所有物…このような言い方はよろしくないが、それが当たり前のようにいつまでも自分のものだと思っていたこと。

他人に傷つけられたり、汚されたり、そんなことはなく、いつまでも自分の宝物は色褪せないなんて保証はどこにもなかったのだから。

彼は、自分の宝物を失って初めてその大切さを知り、今でもその宝物に呪われ続けている。



その年の冬、受験も終わり、卒業式を迎えるためだけに彼は学校に通っていた。

「勇樹、一緒に帰ろう…。」

彼女の晴菜の手を引いて、向かう先は彼らのデートスポットである大きな公園の一角。

大きな欅の木の下のベンチ。

昼間の時間帯でもほとんど人気のないその公園の場所は、彼らにとって好きなことができる良い場所だった。

ベンチに腰掛け、

「お互いの家に行けないのは、冬は寒いし大変だよね…。」

勇樹はそう言って、晴菜を背後から抱きしめる。

「そうだね…。でもこうしていると温かいよ、勇樹。」

勇樹の両親は頭が固く、中学生ながらにして晴菜と交際していることを強く批判した。

なので勇樹は晴菜を自分の部屋に入れることは叶わず、晴菜の家も門限や、家庭の事情により、家に入れることは一度もなかったのだ。

ここは日本で、このような公共の場で抱き合ったり、キスをするという行為は軽蔑の対象になる。

あの日公園の別の場所で果梨に目撃された時に、頬に喰らった平手打ちの感覚をふいに勇樹は思い出していた。
 
「どうしたの?」

何かを感じ取った晴菜が勇樹の方を見る。

「なんでもないよ。」

そういうと微笑んで勇樹は抱きしめていた晴菜の体をゆっくりベンチに倒していく。

「好きだよ、晴菜」

「私も…。」

二人は愛の言葉を交わし、そのまま目を瞑ってキスを始めた。

晴菜の大人の女の表情を薄目で観察し、勇樹のペニスはいつもの如く勃起するのと同時に、勇樹はテニス部のユニフォームを着た晴菜の姿を思い浮かべていた。

勇樹の中学のテニス部は3年生5人という廃部寸前のテニス部で、そこに晴菜をはじめとする新入部員3人が入部した。

女子生徒は晴菜を含め2人しかいない。

勇樹はずっと、晴菜ではない女子生徒の顔が好みであったが今はこうして晴菜と付き合っている。

人は外見より、中身だとはよく言うものだが、晴菜の外見が全て劣ってたというわけではない。

むしろもう一人の女子部員より晴菜が圧勝していたものは、発育の良さであった。

ユニフォームの上からだとよくわかる晴菜の豊満な乳房。
そこも少なからず、勇樹が晴菜を彼女に選んだ理由の1つであることは完全に否定できない。

彼は小学5年の時、家族のパソコンで巨乳グラビアアイドルのサンプル画像を見て、精通した。

勇樹と晴菜のキスは唇を重ねるものから、舌を絡め合うディープキスへと発展していた。

季節は冬で、生地の厚いブレザーの上からでは晴菜の豊満な乳房は外見では分かり辛かった。

勇樹はディープキスをしながら晴菜の頭を撫でている右手を頬、首、肩、鎖骨へと徐々に乳房へ近づけていく。

あたかも偶然のように手のひらを乳房の上に置いた。

しかし、そこから指を立てる度胸は彼には備わっていなかったようで、何事もないかのようにディープキスは続く。

晴菜も目を瞑り、舌を絡ませたままだ。

体目当てと思われることを酷く恐れている勇樹は、乳房に乗った手のひらの指を立てて、乳房を揉みしだくこともできず、恐る恐る円を描くように撫でることで精一杯であった。

気が済んだのか、勇樹は晴菜とのキスを中断する。

晴菜も絡めた舌が離れていくのと同時に目を開け、勇樹を見つめる。

「ごめん…晴菜。嫌だったでしょ?」

「なんのことを言っているの?」

晴菜は自分の乳房を撫でられたことを全く気付いていない様子だった。

意味深長な謝罪の言葉だけが残り、後味も悪く、体の関係も発展しない。

勇樹にとって、乳房を触られたことを気付いていない晴菜に対し、知らぬ存ぜぬを通すことは得策でないことは明白だった。

「俺…、晴菜の胸…触ってた。」

「そうなの?全然気づかなかったー!」

晴菜の表情と口ぶりは、嫌悪感が微塵もない様子で、

「嫌だった…よね?」

勇樹は聞いていることでより不利益を被っていくような感覚であった。

晴菜は、息をついて勇樹の頬に手を添えて、いつにない真面目な表情で話し始めた。




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