飛び込んできた美少女-3
野田は天井を仰ぎ溜息をつく。
(毎日これだもんなー。今日はオッサンとか野郎じゃなかっただけ幸いか?)
胸元で何かモゾモゾする感覚に、視線を下げる。
「―――何やってんだ?」
体勢を変えようと試行錯誤している奈緒子がそこにいた。
「押されると、苦しいじゃない?だから、ラクな姿勢とれないかなー、って。」
いやいや、無理だろ―――
まず動けないから。と、奈緒子の体勢を確認しようとした。
「!!!」
息をのみ固まる。
(腹に――――)
ぎゅうぎゅうと押し付けられている奈緒子の胸が、野田の腹部を圧迫していた。
(うっわ、絶景)
たわわな胸が自分の体で潰されている。
真上から見ると、セーラー服の襟元からのぞく谷間。
(谷間見えちゃうとか・・えっろ。つか、意外とデカいんだなー。C、いやDカップくらいか?うわー触りてぇ。ってダメだろ何考えてんだ俺。でも、コレで俺の挟んだりしたら・・―――あ、やべ)
―――盛り上がって参りました―――!!
野田とて健全なひとりの男子である。そんな事を考えて反応しないわけがない。
野田は苦笑した。
「溝口、ごめん。勃った」
「・・・?」
何を言っているのかわからない、と首をかしげる奈緒子の下腹部に、腰を押し付ける。
「―――コレ。溝口って、意外と胸でかいんだなー、とか、こっからだと谷間も見えてエロいなー、とか考えちゃったりして。」
その先は言えたもんじゃないが。
「――――!!」
(まさか―――!)
奈緒子は目を見張った。
下腹部に当たるぐりぐりとした感触に、顔が真っ赤に染まる。
「や―――」
小さくこぼすと、奈緒子はうつむいた。
(え、嘘だろ?こいつこんな反応するの?)
見下ろした奈緒子の耳が、真っ赤に染まっていた。
(か〜わい♪)
イタズラ心が湧き上がるが、理性でなんとか踏みとどまる。
その理性とはお構いなしに、奈緒子の下腹部で主張しはじめるそれは、どんどん成長してゆく。
(やばい、やばいぞ。落ち着け俺。えーと、さぶろくヨンジュウニ、さんぱゴジュウシチ・・・あー、ダメだぁぁー・・・)
気を紛らわそうと唱えた九九が、おかしなことになる。
困惑した野田をのせたまま、電車は走る。