告白-2
「あの、例の銀の民の青年だな?名前はなんだったか……」
「ジルさんです」
「そう。うん、中々良いと思うぞ?」
そういえば、うんうんと嬉しそうに頷くヴェルメも、園長のキアノと恋仲だ。
「あの……他民カップルって苦労が多い、ですか?」
リアル他民カップルが目の前に居るので聞いてみる。
「いや?そうでも無いぞ?」
ヴェルメの答えに、何処から現れたのかいきなりキアノが割り込んできた。
「いえいえ、多少の苦労はありますよ」
「え、園長?!」
「どうもこんにちは」
驚くリョウツゥに対して、ヴェルメはあまり驚かずに振り向いた。
「仕事はいいのか?」
「ちょっと逃げてきました」
「またか、秘書君が泣くぞ」
「いやいや、彼は優秀ですから大丈夫ですよ」
キアノは後ろからヴェルメの腰に腕を回し、嬉しそうに抱きつく。
居るのがリョウツゥだけだからかもしれないが、人目をはばからない行動にリョウツゥの方が赤くなってしまった。
それに対してヴェルメは相変わらず涼しい顔だ。
「このように、赤の民は感情の起伏が余り無くてですね、愛情表現を多少大袈裟にしないと伝わらないのですよ」
「あ」
実践して見せてくれているらしい。
「それに性欲も余り無くて、セックスアピールも過剰にしないとその気になってくれませんので、そういう所は苦労しますよ?」
「成る程です」
赤の民相手は中々大変そうだ。
「何だ?これは愛情表現だったのか?なついているだけかと思っていた」
ヴェルメの言葉にキアノはリョウツゥは視線を合わせて「ほらね」と、苦笑する。
「リョウツゥちゃんのお相手はどの民ですか?」
「あ、銀の民……です」
リョウツゥの答えにキアノは少し表情を曇らせた。
「銀ですか……」
「あの、何か?」
「いえ、銀の民は発作がありますからね……」
いつ、どのタイミングで起こるか分からない発作が急に起こった時、リョウツゥで対応できるかというと……非常に心配だ。
「む……確かにそれは賛成しかねるな」
ヴェルメも考えを改め、反対の姿勢をとる。
「発作……ですか?」
聞いた事はあるが実際に見た事が無いリョウツゥは、いまいちピンとこずに首を傾げた。