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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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再び-4


 ジルはヒラヒラと手を振って帰ろうとした、のだが。

「あ!!」

 その手をガシッと掴まれてしまった。

「ぁ えっと、予定は……無いです……でも、その、材料が無くて……」

 実は、最近ジルが食べてくれないので何も作る気がしなくなり、お惣菜ばかりだったのだ。
 だが、やっと来てくれたジルを逃したくない。

「で、ですから、一緒に、お買い物……良いですか?」

「へ?」

 そんな訳で2人は仲良く街のスーパーに買い物に出かける事になった。


(マズイ……非常にまずい……)

 ジルは買い物カートを押しながら冷や汗をかいていた。
 人様に言えない仕事をしているジルにとって、組織のメンバー以外の誰かと一緒に居るというのは非常に危険だ。
 もし、こんな所をメンバーに見られでもしたらリョウツゥまでもがコッチに引き込まれかねない。

 しかし……。

「ジルさん、ジルさん。葡萄好きですか?」

(ダメだ……可愛い……)

 念のために距離をおいているのに、葡萄のパックを掲げて可愛く声をかけられたら意味がない。

(まあ、偽装っつう事で誤魔化すか……)

 人様に言えない仕事の場合、周りに不審に思われないように偽装結婚する場合もある。
 情報を仕入れる為に合コンだってする。
 誤魔化しようはいくらでもあるか、とジルは開き直り、リョウツゥとの買い物デートを楽しむ事にした。

 美味しいパスタをご馳走になったジルは、お礼に食器洗いを申し出たが、リョウツゥはそれならとテレビの初期設定をお願いした。

「私の里ではまだ普及してなくて……買ってみたんですけど全然分かんなくて……」

 緑の地域は高山なので電波が届き難いのだ。
 同じような理由で、土地の殆どが水に没している青の地域でも普及率は低い。
 テレビなどの機器が一般的なのは、クアトリア王都と機械類の扱いが得意な銀の地域ぐらいだ。

「おぅ。任せとけ」

 ジルは嬉々としてテレビにかじりつく。
 実は機械を弄っている時が一番落ち着くのだ。
 映りが良くなるように調整してやり、ついでにジルのゴーグルと繋がるように細工しておく。
 何かあった時、音声だけでも送れれば多少は危険を回避出来るかもしれない。



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