変化-1
「ただいま、っと…。」
そう口にするも返る言葉も無く、深く重たい暗闇が居間を覆いつくし。
「何だ、牛乳まだ残ってたんだ、あやべもう卵切れるな。」
俺の母親は俺が中学に上がったその数日後に病気で亡くなり、父親も生きてるは生きてるけど…。
「また、こんなに散らかして……。」
床に若干汚らしく液体の残ったビール缶にビール瓶が転がっており、表情を濁らせ缶に腕を伸ばすと。
「うぉーい、帰ったぞぉーい。」
「!!」
扉を乱暴に開け、茹凧のような顔に覚束ない足取りで居間に着き、そのまま勢い良く床に身を預け。
「また、飲んできたのか…。」
「ぐへへへぇ。」
棚の上の遺影が悲しそうに俺に微笑む。
「………。」