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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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変化-3

「うーん、この時期はやっぱスイカよねぇー。」
「だねぇー、スイカはそんなに好きではないけど、これを齧る度に夏が来たなぁーって実感するんだよねぇー。」
「…まぁ、ラーメンも味を食べるんでなく情報を食べるって良く言いますから。」

私達は学校を終え、ひょんな話し合いから私の自宅である八百屋へ皆もついて行き。

「何よー、それじゃーオジサンいやお爺さんの切ってくれたスイカが美味しくないって言う訳ー?」
「ははっ!そうは言ってないさ、ただ風流で縁起があって良いなと思ってね。」
「相変わらず分かりにくい男…。」
「何だよー、君だってこのスイカ目当てに「なら、今日早速若葉の家に行ってみましょうよっ!」ってノリノリだったじゃないか。」
「違いますー!友達の家が青果店をやってたら誰だって興味持つじゃない。」
「ほら、やっぱりスイカ目当て。」
「何よーっ!」

私達が店の向こうで腰を下しスイカを頬張っている間、商売用ぱっぴに身を包み、お婆さんやオバサン、子連れの若い母親に忙しそうに接客をする私の祖父。そんな彼の後ろ姿に視線を置き…。

「元気なお爺様ね。」
「まぁ、元気と言えば元気ですけど。」

私の様子に気づいた巴ちゃんが声を掛け。

美味しそうにスイカを食べる一条君、ダガその隣の佐伯君はスイカを持ったまま固まっており…。

そして私は食べかけのスイカを皿に置き、一呼吸し、ゆっくりと口を開く。

「私の両親ね、私が中学の時に離婚して、それからお父さんが男手一つで育ててくれたんだけど、そのお父さんも私が中学卒業した時に、交通事故で…。」
「若葉…。」

深刻な顔で私を見つめる巴ちゃん。さっきまで床にばかり視線を置いていた佐伯君もこっちを向き出し。

「お母さんは?事故に遭った後、引き取ったりは…。」
「蓮っ!……っ。」

失言する彼にキッと睨む彼女、しかし私はポンッと彼女の肩を触り。

「葬式には来なかったの…、だけどその時にお爺ちゃんが私を引き取ってくれて。」
「良い、お爺ちゃんだね。」
「うん!…まぁ、時より「薄情な娘め…、我が子が可愛くないのかっ」って愚痴をこぼすけど。」
「……。」

野菜に果物を入れた店のビニール袋を持ち店を後にするオバサンに足を一歩出しペコペコ
嬉しそうに頭を下げるお爺ちゃん。

「……良いの?そんな話してくれて。」
「うん、打ち明けたかったもの、大事な友達に…。」
「若葉……。」

何だろう、胸の辺りがスッキリした。

「………。」

暗い表情が更に暗くなる佐伯君。




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