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トーキョーJane Doe
【女性向け 官能小説】

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WHO ARE YOU?-2

受付の打ち合わせと言っても、外回りの身ではなかなか時間が取れず結局LINEを使って話すことになった。
俺が面倒がるからか、彼女は事細かく決めてくれて事後承諾と言う形で連絡をくれた。
人の結婚式など男は面倒なだけだが、女性はそうでもないらしい。
そこには、式に出席する新郎の学生時代の友人で、いい男がいればあわよくばと言う計算も働いているのだろうが。
『私もいい人がいたらそっちに乗り換えちゃうかもよ?毎日顔を合わせてるのに、デートもできないってどんだけ?』
『悪い。今の客先にサインさえもらえば落ち着くから』
そう返信して、なんとか乗り切った。
正直なところ、こんな薄給で結婚など考えられないのだ。今でさえ休日はごろ寝で終わる。彼女には悪いが、休日は休日としてゆっくり眠りたい。

あの夜からちょうど一週間たった金曜の夜。
俺はあのショットバーへ寄ってみた。カウンターには一人客が二人。携帯をいじる男と、タバコをふかしている男。
劇的なな展開があるわけもなく、彼女はいなかった。
ジャックダニエルを注文すると、バーテンが封筒をそっと横に置いた。
「先日のお客様が見えまして、もしお客様がいらしたら渡して欲しいと承っておりました」
「あの女性客?いつ来てた?」
「はい。水曜の夜でした。カクテルを注文されて、帰り際こちらをお預かりしました」
「ありがとう」
カウンターのライトの下で、封筒を開いた。

「もし、このメッセージを開いているのが金曜か土曜なら、私はセルリアンタワーに泊まっています。訪ねて来てください」
セルリアンタワーなら渋谷の駅前だ。

俺はグラスの中を飲み干すと急いで店を出た。
タクシーを使うまでもない。
俺はなぜこんなに急いで向かっているのだろう。会いたかったのか。会って、彼女の素性を聞きたいのか。

いや。
抱きたいのだ。あの体を。

エレベーターを降り、目的の部屋のドアの前に立った。
さすがにいいホテルだ。ドアの作りも、内装も、床さえもラブホとはわけが違う。一泊で数万円だ。
そんなところになぜ、ひとりで。俺のために?いや、まさかな。

顔を見て確かめればいい。
俺は重厚なドアをノックした。
コンコン。2回ノックすると、間もなくドアが開いた。
彼女が立っていた。
「やあ」
「やあ」と彼女は笑った。
この前のように、白いブラウスに黒い細身のスカートを合わせていた。
黒いストッキンッグがやけに艶かしい。
「俺に、その……用があったのかい」
「用?」
と首をかしげると髪がふんわりと揺れた。
「何か飲む?」
「あ、ああ」
「シャンパンがあるけど、それはセックスの後にしましょう」
そう言うと、ワインを注いで渡してくれた。
「あのさ。君はなんで俺を誘ったのかな」
「なんでって?そんなに意味があることじゃないのよ」
まぁ、座ったら?と言いながら彼女はソファに身を沈めた。
「意味もなく見ず知らずの男と寝るって、よくわからないんだけどな」
「そう言うあなたも私と寝たじゃない。男はいいけど、女はだめなの?」
「いや、そう言う意味じゃないんだ。俺は、その。君がいい女だと思ったから、抱きたいと思ったからさ」
「私もよ。この人なら寝てもいいなって、そう思ったから」
彼女の後ろの大きな窓にはレースのカーテンが引かれていて、遠くまで煌きながら広がる東京の街が見えた。
ねぇ。
そう言って立ち上がると、俺にもたれかかって唇を合わせて来た。
ワインの味がする。
「始めない?」


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