半獣奇譚-4
「な、何してるの!?」
「いや、すみません。そうされると、ついこうなっちまうんですよ。」
「私が好きかしら?・・・今でも。」
「もちろんでございます。ですからこうして・・・」
「好きと言ってもいろいろあるのよ。好きだから嫌とか。嫌だけど一緒にいるとか・・・」
「犬コロには難しゅうございますね。犬は好きな人と苦手な人しかありませんから・・・」
「いいかしら?人というのは好きな人に誓って情を交わすのよ。」
「こ、交尾の事でございますか?」
「下品ね・・・それは犬の事。人間は情を交わすの。」
私のうちには舶来のベッドがあった。
飾りが付いて、かっちりした真鍮の枠に木枠が嵌め込まれ「スプリング」というやつが体を押し返す。
床を二枚並べたほどの幅はあったが今や独り寝の私には空々しい。
男をここに引き込んだ事はなかった。
亡き主人への貞操というよりは亭主面されたくないからだった。
クマは家族だから、いいような気がした。
「こうして、接吻するのよ・・・」
唇を重ね合わせた。私もクマも裸のまま浴室から出てきたのだ。
この頃は男女が情を交わすにしても、着衣を乱してイタスのが普通とされる。
やたらと肌を晒すのはどこか恥じらいを否めない。
だけど、私たちは裸で獣のように抱き合っていた。
クマの口は少し臭ったが私は構わずに舌を挿しいれる。
生きてる限りは匂いがあって、当たり前なのだ。
「あっ、ダメよ!そんな急に・・・」
クマはまた、お尻の匂いを嗅ぎ出す。
別に好きにさせても良かったけど、人としての作法というのか手順を教えたいと思った。
さて、男女のまぐわい事にそもそも作法などあったものだろうか?
私はそれをいつ、いったい誰から習ったのだろう?
「いい?こうして・・・乳を舐めたり吸ったりするの・・・
あぃ・・っ・・・きつく噛んじゃダメよ。そう、そっと歯を立てて・・あっ・・・」
クマに吸われて、乳首がこんなにも硬く勃ってるのを私は初めて実感した。
何もされなくてもじんじんと痛いほど勃っている。
無意識に腰を振るえば、私はいつからこんなに淫乱な女になってしまったのか?と思うがクマは半分犬なのだ。
半分は獣のようになってしまっても、構わないような気がする。
恥とか体裁とか、いったい何なのだろう?人は生まれてきて、裸の上に衣を纏ってるに過ぎないのだ。
「ねぇクマ、もう気がおかしくなりそうよ。私のここを舐めてよ。その舌で舐めてぇ・・・」
拡げてみせたそこにクマの長い舌が届く。
何もかも掻き回すようにするかと思えば、また丁寧にひとつひとつを愛しむ。
なんと深い愛撫だろう?