こじらせ処女-6
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田所さんの彼氏・ツトムくんは、友達も多いし、それなりに恋愛経験があり、女の子の扱いをよく知っている、いわゆるリア充って奴だった。
田所さんは、彼のそんな垢抜けた雰囲気に惚れ込んで、合コンで一番人気だったその彼に勇気を出して連絡先を聞き、何度かのデートを重ねた末に、恋人になれたそうだ。
彼女にとって、初めての彼氏。
かっこよくて、優しくて、一緒にいると楽しくて。
そんなツトムくんと過ごす毎日は、薔薇色の日々だったそうだ。
このままいつまでも幸せが続くはずだったのだが、そうは問屋が卸さない。
順風満帆な田所さんの交際だったが、ここで一つの壁にぶち当たることになる。
それは、付き合って3ヶ月ほど経ってから、ツトムくんと出会った合コンと同じメンバーで飲んでいた時のことだった。
そのメンバー内でのカップル成立は、田所さんの所だけだったのだが、合コン自体は非常に楽しかったので、友達としてみんな仲良くなったそうだ。
何度か重ねた飲み会は、すでに気心知れたものになっていて、いつものように和気あいあいと始まった。
仲間内でのカップルが誕生すると、物珍しさで交際内容をあれこれ詮索されるのはお約束のようなもんで。
その日もデートの行き先とか、お互いの呼び名とかそんな他愛のない質問を二人は浴びせられていた。
やがて、酒が入るとその内容は際どいものになっていく。
キスはいつしたのかとか、セックスはどれくらいの頻度でしてるのか、とか。
だけど、これは仕方がないことなのだ。
若者の酒の肴なんてエロしかない。そう言っても過言じゃないのだから。
でも、田所さんにはそれが気まずくて。
そして、付き合う=セックスとすぐに結びつけるその短絡的思考が苦手な一方で、彼氏のツトムくんはなんて真面目なんだろう、そう思っていた。
なぜなら、付き合って3ヶ月になるのに、ツトムくんは田所さんに手を出さないからだ。