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【その他 官能小説】

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こじらせ処女-5

よくよく聞けば、田所さんには付き合って間もない彼氏がいるそうな。


やはり、こんな可愛い女の子は男がほっとかないのだ。


出会いは合コン。うん、若いって羨ましいね。


そんな彼氏との馴れ初めを話しながら、田所さんは赤い皮のバッグから可愛いカバーのついたスマホを俺に差し出してきた。


「これは……」


「あたしの彼氏です」


言われてスマホを手に取ると、待ち受け画面には、ニッコリ笑う田所さんと、爽やかな白い歯を見せて彼女の横で屈託なく笑う彼氏の姿があった。


可愛い娘と爽やかな好青年。容姿のレベルも二人してそこそこ高い、誰が見てもお似合いのカップルだ。


いいじゃん、青春じゃん。こんなイケメンな彼氏がいるなら、わざわざこんなとこにロストバージン頼まなくたっていいじゃん。


処女が重いって言ったって、好きな女が相手なら話はまったく変わってくるのだから。


そう思いながら彼女を見ると、口を尖らせたまま画面を凝視していた。


「素敵な彼氏ですね」


「ええ、かっこいいし、オシャレだし、性格もいいし、あたしにはもったいないくらいの彼氏です」


不機嫌そうな顔ながらもしっかりのろける田所さん。


ほんのりピンクに染まる頬を見てたら、俺が出る幕なんてまるでないってのがひしひしと伝わってくる。


けっ、そんなに好きなら、この素敵な彼氏に処女捧げろよ。


田所さんのように青春時代を謳歌することなく、ピンクな世界に身を落とした俺にとって、こういうのろけ混じりの悩みは、イライラしてくる。


幸せの上に成り立った悩みなんて、ちっぽけなものに感じるからだ。


やはりこの依頼は見合わせよう、そう思って口を開こうとした瞬間、


「……好き過ぎるから、あたしは処女じゃダメなんです。ツトムくんに少しでも幻滅されたくないんです……」


と、田所さんの涙声が遮った。




好きな人の前では、マイナス要素を見せたくない。


そういう感情は、誰しも持っているもんだし、俺もその気持ちはよくわかる。


だからと言って、田所さんの考えは解せない。


だって、処女だと幻滅されるより、こういうとこでロストバージンをする(しかも撮影付き)方がよっぽど幻滅されると思うのだが。


腕組みして、背もたれに身を預けつつ彼女を見ていると、別世界にいる宇宙人みたいなものに思えてきた。




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