秘密の部屋-13
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「カウル=レウム王……カウル=レウム王っ!!」
「はぃ??」
耳元で怒鳴られたカウル=レウム王は、ガバッと身体を起こしてキョトキョトと周りを見た。
「えっと……」
「えっと、じゃないですよ!何、寝てやがんですか?!ぜんっぜん仕事進んで無いじゃないですかあぁ!!??」
カウル=レウム王はパチパチと目を瞬いて秘書ディアゴを見つめる。
「ああ、夢か」
「?」
喚くのを止めたディアゴは、新たに持ってきた資料を山積みの資料の上に更に重ねて首を傾げた。
「ディアゴ君に初めて会った時の夢です」
カウル=レウム王の答えにディアゴは顔をしかめる。
お互い、あまり良い思い出ではない。
「君に出会えわせてくれた事が、国王の最高の償いですかねぇ」
「私は……父が貴方方にした事の償いは……まだ出来てません」
「君が償う事では無いでしょうに」
「しかしっあの事が無ければ貴方が発作に怯える事は無かった!!」
元々青の民であるカウル=レウム王は、カウル=レウム王になってしまったばかりに銀の民の発作の危険に晒される事になった。
結局、銀の民の発作の原因と対処法は何も分かっていない。
ただ、違法である薬物を使った鎮静剤を使う事で多少は抑えられる。
「まあ、そうですが、感謝もしているんです」
この身体でなければ、思う存分ヴェルメを愛せないのだから。
「……貴方のヴェルメさん好きは病気レベルです」
ディアゴは更に顔をしかめた。
「いやいや、聞いて下さいよ。この間なんか仔猫を拾ってきてですね」
「あ〜ハイハイ。分かりましたから仕事して下さいよっ!貴方に負い目はありますが、王となったからには仕事はキチッと!」
「ええ〜」
聞いて聞いてとねだるカウル=レウム王を抑えて、ディアゴは目の前に資料を突きつける。
あれから5年たった今……色々と風化しつつある今……あの時の代償を払う時が、知らず知らずのうちに刻々と近づいてきていた。
ー続くー