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守れ帝都を!! 日の神戦士アマテラス 第一部:勇者誕生編
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秘宝の謎とは-2

深夜の帝都の地下深く。
「どうかね、プルートン? 三種の神器の秘めたる力の謎は解けたのかね?」
漆黒の闇から、姿無き声が響く。
「は…いまだ未解明ではありますが、時間の問題かと…」
「なるべくならば、黄色い猿を殲滅に追い込むのは早い方が都合がよい それも、われわれの仕業とは見せかけず‘自然現象’による国家崩壊に見せかける必要がある そのためにも例の三種の神器のパワーは不可欠だ」
「はい、ご安心を その秘密を握る小娘を攫ってあります そろそろ秘密を喋る頃合いかと…」
プルートンは踵を返すと、さらに薄暗い石造りの階段を下りて行った。

プルートンが歩みを進めると、地下の風穴に引き込まれる風の音に混じり女の悲鳴が次第に大きくなってくる。
ビシーーッ! バシーーッ!
「ああ〜〜ッ…ああ〜〜〜〜ッ…」
 むき出しになった巨岩に覆われた巨大な地下シェルターの天から下がる鎖に両手首を繋がれた鴻池詩織の悲痛の叫びが木霊する。髑髏マスクの男たちから鞭打たれながらも、必死に「守るべきもの」を守るべく苦痛に耐え忍ぶ令嬢。拉致された時の四省堂書店の可愛らしい制服はずたずたに引き裂かれ、露わになった白い肌には大きな蚯蚓腫れが無数に刻み込まれている。プルートンは部下たちに右手を軽く上げ、拷問を一時中断するように命じると、吊るされた詩織に歩み寄る。
 「ククク、大和撫子の強情さは想像以上だ これほどの拷問を受けてもまだ喋る気にならんのか?」
 「う…、うぅ…話すことはなにも・・・ありません」
 苦痛に端正な顏を歪める詩織の顎に手をかけると、プルートンは冷酷な青い瞳をしばたたかせながら凄んで見せる。
 「お前がいかに強情を張ろうと、帝都は、いや日本は我がジェノサイドの手に堕ちたも同然 日本はアジアの中心に位置する陸の孤島… それだけに我らがアジアの国々を制圧する監視所となり、また指令の拠点ともなる、不可欠の場所なのだ そのためにも帝都東京をいったん壊滅させる必要があるのだよ、フフフ」
 「あなた方の目的は察しがついています… そのために三種の神器を利用しようというのでしょう」
 「その通り! 三種の神器はその秘めたるパワーによって地殻変動を引き起こすことさえ可能だと、我がジェノサイドプロジェクトチームは突き止めた だが、その手法はともに保管されていた古文書の解読を行ったお前にしか知り得ぬそうだな」 
 プルートンの見入る様な青い瞳から美貌をそらす詩織。彼女は独自に解読した古文書『日戦神示』の一文を心の中で暗唱していた。
 (那の国を貶める邪な者が現れし時には滅亡に導く引導となりにけり・・・八咫鏡を太陽に照らし、八尺瓊勾玉にその日を当て、屈折しし光を草薙剣にあびせ、大地に突き立てたるときには、那の国に激震を招き寄せる…)
 日本が外敵に攻め込まれた際には三種の神器が国土もろとも邪心なる者たちを滅亡させる、いわば自爆装置となるものと詩織は解釈していた。だが、それが敵の手中に堕ちた今となっては、その手法を明かせば、帝都はジェノサイドの意のままに壊滅に追い込まれかねない。生を受けた日本を愛す名家の令嬢としては、耐え難いことだ。

「我が組織の調べではその秘宝の引き起こす激震は、マグニチュード9.5の世界規模の地震にも匹敵するパワーを持つという結果も出ている 壊滅した帝都を我が手中に収めコントロールするための地下帝国をそこに樹立するわけだ」
プルートンは値踏みするように詩織の瞳をのぞき込む。敵は核心に迫りつつある。あとは詩織の忍耐だけに日本の命運がかかっているといっても過言ではない。
「お前が我が組織に力を貸すつもりならば、命は保証する そして、優等人種としてジェノサイドが身分の保証もするが、いかがかね?」
プルートンは再び詩織の端正な貌に手をかける。
「黄色い猿の日本人にしてはなかなか頭の良い娘のようだ それに大和撫子の中でもかなりの上玉だ 選ばれし国民になる資格は備わっているよ、ククク…」
だが、邪まな甘言を、詩織は拒絶する道を選ぶ。
「見くびらないで 罪のない大勢の人を犠牲に、野望を達成しようとするあなた達に協力なんてできるはずないでしょう」
そんな詩織を嘲笑いながら、プルートンは愛用する電磁鞭を手にする。
「愚かな娘だ いいだろう、望み通り拷問を再開しよう」
プルートンは稲光する鞭を、空を切り裂くように振りかざすと吊るされた詩織の華奢な身体を打ち据える。先ほどまでの責めとは比較にならぬ肉体を焦がすような苦しみの中、詩織は古文書に書かれた別の一文を思い返していた。
(東の都に危機迫らん時には…必ずそれを救う勇者現る…その勇者に三種の神器を与えしときは…救世主となる!)


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