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【箱庭の住人達〜荊の苑〜】
【学園物 官能小説】

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第二話-1

  ◆  ◆  ◆

 放課後。
 夕暮れ時の教室。
 前後二つある扉はどちらも鍵が掛けられ、誰も入っては来られない。扉の窓から覗いても誰もいないように見えた。けれど微かに気配がある。扉からは見え難い場所、廊下側の壁に近い位置に二人はいた。他に人気は無い。

 硬いイスにゆったりと腰掛けている少年。
 その足の間に跪(ひざまず)く女。

 女の背恰好は分からないが、服装からするに教師だろう。彼女は少年の股間の辺りでしきりと何かをしている。動作に合わせて響く湿った音は、淫靡な空気をまとって教室内を澱ませる。
 少年の手が伸び、ぞんざいに女の髪を梳いた。
 唾液と共に皮膚に纏わりついていた髪の毛がぬらりと離れ、隠されていた部分が晒されると、二人の行為が顕わになる。女は少年の起立した牡を咥え、彼を追い詰める行為に耽っていた。時折、少年の足がもどかしげに動く。
 一見すると恋人同士のようだった。教師と生徒、さながら禁じられた関係といったところか。
 ふと女を見つめていた顔が持ち上がり横を向いた。視線の先には窓があり、オレンジ色の空が鮮やかに広がっている。

 辛そうに見えた。

 硬く引き結んだ唇、寄せられた眉。何かに必死で耐えているような悲愴な空気が漂う。
 女は目の前のモノに夢中で、少年の様子には気がついていない。熱のこもった吐息と淫猥な音が静かな教室を満たす。

 その光景に、甘い気配など微塵も無かった──。

  ◆  ◆  ◆


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