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風俗群像
【その他 官能小説】

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北島美枝の話-8

 美枝が退院して数日後に弟の直人が入学のためにそっちへ行くという連絡があった。

「部屋をどうするの、空いてはいないよ」

「お姉ちゃんは、何時も夜が遅いから、村上先生の所に行ったら」

「そんなことできませんよ、村上先生がお困りなります」

「村上先生、いいと言ってらしたよね、晴枝姉ちゃん?」

「先生、お姉ちゃんのことが好きなんと違う」

「そんなこと」

「赤くなって、満更でもないんでしょう。やっちゃえば」

「バカなこと言いなさんな子供の前で」

「お母さん何やっちゃうの?」

「それ、見なさい」

「なんでもないのよ、大きな魚を捌いちゃおうかなって」

「きょう、マグロが来たって?」

「お父さん珍しいのを釣ったって、ベランダに置いてある」

「何処で捌こうか、食べきれないからこの階みんなに配ろうか」


「ベランダしかないね、新聞紙をしっかりと敷き詰めて、切り台はどうしよう」

「屈んでするか、切り身は部屋の流しで」

「咲枝、つまの大根を作って、晴枝一番長い包丁、切れるかな」

「研いであるから大丈夫だよ」

「美穂、みんなのお宅から大きな皿を借りてきなさい、家は入れ物がないから、何処の家のか、ちゃんと覚えておくんだよ」

 美穂が訪ねていくと、マグロの捌きが見たいと言って若い奥さんみんなが皿を持って見物に来た。


「残ったね、美枝姉さん、藤田先生の所と、彩乃さんの所に持っていったら」

「晴枝、そうだね、タッパに入れて持って行ってきて」


 美枝は姉妹と子供達から体よく追い出されて村上と同居することになった。2LDKのリビングに村上は机を置いて、応接セットはなくて、フローリングの床にマット布団を敷いて暮らしていた。

 美枝が二部屋を使うようにした。晴枝と咲枝はリビングと美枝の使う部屋との境の襖はすぐに開きっぱなしになると見ていた。


「美枝さん、美穂ちゃんと直人君を連れて、私の両親や兄妹に会ってくれませんか?」

 同居して一月足らずに美枝を救ってくれた村上裕樹が遅くに帰宅した美枝に言った。裕樹の気持は同居前から美枝を妻にしたいと決めていた。

「何でです」

「結婚したいからです」

「私と? こんな男にまみれた女を? 愛人になれと仰るなら、先生が好きですから今夜これからでも」

「明日、日曜日です、僕の好きな人を紹介すると連絡しておきました。みんなが待っています、美枝さん、どうかお願いいたします」

「しょうがないわね、先生少し強引すぎます。どうせ私のような女はご両親やご家族には反対されますよ。仕方がありませんね。明日の朝早起きして美穂達に言わなくては」

「それはもう承知しています」

「晴枝や咲枝も?・・・・・手回しの好いこと」

 妹たちが村上と何とか結ばせたいと色々と画策しているのは美枝は感じていたが、ここまでやってくれようとは。手回しの良さはこれだけではなかった。


「美枝さん、それに美穂ちゃんに直人君、いらっしゃい」

「北島美枝と申します、村上先生には危ないところを助けていただきまして、その上色々と妹や子供達がお世話になって本当に申し訳ありません」

「裕樹の母の由美子です、これから宜しくね。その上そちらのお父様から結構な物を送っていただき有難う御座います」

「もしかして魚を?」

「はい、見事な鯛を三匹、クール便で今朝早くに」

「そうでしたか、昨夜遅くに、先生から今日のことを言われましたので、何もなく手ぶらで参って・・・・・」

 美枝は出がけに咲枝が

「姉さん、コレ要るかも知れないよ」

 と、手渡された包丁は、これだったのか、

「奥様、鯛の捌きは?お出来になる方いらっしゃいますの」

「主人裕樹の父親です」

「隆雄です、裕樹がそちらの皆様に大変世話を掛けていると、有難う」

「兄の浩志です、妻の洋子」

「妹の美智子です」

 広いリビングで一同はテーブルについて、

「美枝さん、頂いた鯛の捌きをしてくださいます?。お客様にさせるなんて失礼なことですが」

「包丁を出がけに妹が手渡したので、もしかしてっと・・・・・・キッチンを拝借いたしまして、早速、新鮮なうちに」



「お疲れさま、美穂ちゃん達は寝たの?」

「ぐっすり、美穂はお母様から頂いた縫いぐるみが気に入って抱いて寝ています。直人はゲームが気に入ったらしく枕元に置いて。先生、お風呂は」

「これから入るよ」

「お風呂から上がったら、ビール飲みましょうか」

「いいね」

 裕樹は両親や兄妹が、

「いい人じゃないか、美人でスタイルも奇麗だし」

「中学だけだと言うことだが頭もいい人だ」

「好きだったら反対はしないよ」

 父が言ってくれてほっとした。

「先生、一緒に入っていい?」

「いいも悪いも、もう裸じゃない」


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