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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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I.-3

自転車で5分もしない所にある土手を当てもなく2人で走り、適当な所で自転車を停めてコンクリートの長い階段に腰を下ろす。
芝生の上でキャッチボールをする親子…それを遠くから見守る母、犬の散歩をする老夫婦、釣りをしている人、健康的なランナー……春は何をするにももってこいの季節だ。
「はい、オベント」
「ツナサンド?」
「も、入ってる」
湊はお弁当箱を開けると「おぉ!」と声を漏らした。
「やるじゃん」
ツナサンド以外にも、ベーコンレタス、イチゴジャム、タマゴなど色んなサンドイッチを作った。
「あとね、これもあるよ」
陽向が開けた他の2つのお弁当箱には、小さい方にはコールスローサラダ、一回り大きい方にはフルーツの盛り合わせが入っていた。
冷たいお弁当がダメなら、これならいけるだろうと考えたのだ。
「うまそー!やべー、リンゴ入ってる」
湊は子供のようにはしゃぎ、「いただき!」と言ってツナサンドを頬張った。
「うまい?」
「うまーい!」
湊は「やっぱツナサンド鉄板」と言いながらリンゴも頬張った。
「ひな坊どれ食う?」
「余ったやつ」
「え、タマゴじゃねーの?」
「湊タマゴも好きでしょ?食べなよ」
「いーの?」
「いつでも食べれるもん」
「花見しながら食えるのは今日だけだぞ」
そう言いながら湊はタマゴサンドを陽向の口に差し出した。
遠慮なく受け取る。
「うまーい!」
「自分で作っといて?」
「最高!やっぱあたし才能ある」
「それはどーかな」
「失礼だし!」
土手でケラケラ笑い合う。

桜を見ながら今年も春が来た、そう思う。
湊と過ごす何度目かの春。
暖かい陽射しと、暖かい空気。
きっとこの先もずっと同じ桜を見るのだろう。


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