アパートの鍵、貸します-9
最後に残ったかけらほどの理性で、麻里が異議を唱えようとした。
だが、
「今日、危ない日なの?」
「う、ううんっ!」
「そ。じゃー別にいいじゃん。なんにも困ることなーし」
「んっ、んっ、んんっ!」
「いいよね?」
「んんんっ!」
「い・い・よ・ね?」
喘ぐ麻里の顔を正面から見据えると、流は語調に合わせてリズムを変えながら膣内を執拗に
こすり上げた。
「あっ! あうぅっ! う、うん!」
「はい、中出しオッケー出ましたー。じゃあ体勢変えよっか。もっとキモチよくなるよー」
挿入が外れないように注意しながら麻里を起こすと、そのまま自分だけ寝転んで騎乗位へと
移行する。
「ふんっ!」
そして一旦麻里の腰を持ち上げると、渾身の力で一気に奥まで貫き通した。
「んあああああっ!」
麻里が獣のように全身を大きく震わせ、いやいやをするように何度も首を振る。
「おー、ハデにイッたねー。初めてなのにこんな本イキしちゃうなんてすごいねー」
薄笑いでそんなことを呟くと、流がさらに激しく突き上げながら言い募った。
「じゃあイッたところでもう一回確認。自分の口でハッキリ言って」
「んっ、あぁっ! だ、出して! 中に出して! 今日は安全だから! 大丈夫だからぁ!」
流の精を全て搾り取ろうとするかのように淫らな動きで腰をグラインドさせながら、麻里が
大声で叫ぶ。
「はい、よく言えましたー。じゃあいくよ……んっ!」
流が仰向けのまま、とどめを刺すようにフィニッシュへ持ち込むと、
「あ、あっ、ああああぁーっ!」
直後に麻里も長い黒髪を振り乱すようにのけぞり、同時に最後の気をやった。
(そ、そんな……そんな……)
狭い一室で繰り広げられる、男と女の、濃厚な交わり。
その一部始終を間仕切りカーテンのすきまから目撃した智哉は、衝撃に身を震わせながら、
ただぼんやりとその場に立ち尽くすばかりであった。