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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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=シリーズ番外編・高坂独と八木愛里の場合-2

今、私は高坂独くんに恋をしてる。
独くんは、背が高くてハンサムだし、スポーツも万能。でも、私が好きになった事とは、何ら関係がない。彼を紹介するのに一番簡単でわかりやすい単語を並べただけ。私が好きなのは、そんな所じゃない。
私が彼を好きになったのは、中学三年の時。
私の学校のバスケ部と、彼の所属する他校のバスケ部の試合を見た時の事。
ハツラツと……それでいてとても楽しそうにプレイする、彼の姿に釘付けになった。
私が好きになったのは、そう……言うならば彼の存在。彼を見た瞬間に、頭の中で何かのピースがはまったかのような感じがした。
理由なんて、わからない。だけど、本当の恋って、そういうものじゃないかなぁ。
でも、中学ではそれ以来、彼を見ることはなかった。
そして、しばらくしてから私は高校生になった。
この舞阪高校を選んだのは、何気なくだった。
家からはちょっと遠いけど、進学校ではあるし、友達も受ける子がいたから。
ただ、合格発表があった日に、私はこの高校を選んで正解だった事を確信した。
私の隣に、ガッツポーズを友達とする独くんがいたから。
ただ、大きな誤算が一つあった。
私の心。いざ、話しかけようとすると……恥ずかしさで足は動かない、声は出ない。自分が嫌になったりもしたなぁ。
逆に、合格発表の時に彼と一緒にいた人と仲良くなった。
太田憲くん。落ち着いた感じのする人。彼と話をするうちに、私の心は……流されかけた。
独くんに話しかけようにも話しかけられない私は、太田くんに逃げようとしかけた。でも、駄目だった。どうしても、私には独くんしかいなかった。
そのうち、二年生になり、私は独くんと同じクラスになり、同様に同じクラスになった太田くんにはとても美人の彼女が出来た。今では私の親友の、矢城白雪その人。
同じクラスになり、私はようやく独くんに話しかけることが出来た。
話していく内に、私の中で独くんの存在はどんどん大きくなっていった。
けど、独くんは別の人に恋をしていた。
白木麻衣さん。
白雪の、中学の時からの親友。大人っぽい美人で気さくな性格な人。
やっぱり、私じゃ駄目なんだろうか。思い悩んだ。でも、悩めば悩むほど、私は再確認してしまう。
『私は高坂独くんが好き』
どうしたら良いんだろう。
いつもは普段通り過ごしたし、独くんとも普通にしゃべってた。
想いを隠す事は、とても辛かった。けど、私には表に出す……告白する勇気もなかった。
そうこうしている内に、白木さんに彼氏が出来てしまった。相手は矢城孝之くん。白雪の双子のお兄さん。
私は、嬉しかった。この感情がどんなに酷く自分本意で最低なのは、わかってる。けど、嬉しかった。私には、まだチャンスがある。
そして、私はその『弱味』というチャンスにつけこんだ。
バレンタインの日……私は二人の関係を知った彼に、告白した。
彼の失恋の痛手につけこんだ。私には、そうするしかなかった。そうしなければ、私は告白できなかったろうし、彼は私の想いに気付いてくれなかったろう。
あれから、数ヶ月。
彼とは、友達の関係に止まってる。答えはまだもらってない。
最近は、一緒に帰る事も増えてきた。それが、私はたまらなく幸せ。
答えはまだもらってない。その答えは、もしかしたら拒否かもしれない。
そう思うと、とても怖い。でも、離れられる事も出来ないよ。
……独くん。
臆病者で卑怯な私だけど、あなたの事が大好きです。
だから、私を見て。
あなたの事を想う、この気持ちは誰にも譲れないの。
そろそろ、答えを聞かせてほしいよ。




「なぁ、八木………」
「な、なぁに?」
「その……バレンタインの時の答えなんだけど……」
「……………」
「あぁ……なんというか」
「………うん」
「君の事を………」
「……………私は好きだよ。独くんの事、大好き」
「いや、だからな。……その……………俺も、好き…だ」



END


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