再出発-4
翌日、有樹が仕事を終え帰宅すると瀬奈が戻っていた。電話でもメールでも構わないから何かしらの連絡を期待していた瀬奈に、躊躇い続け結局何の連絡もせずに帰宅した有樹。戻って来てくれていたらいいなとは思ってはいたが、いざ居るとなると緊張してきた。
「お、お帰り…」
様子を見るような目で見ている有樹に若菜は深々と頭を下げる。
「勝手な事をしてごめんなさい…」
そんな瀬奈を見て有樹は少し気持ちが軽くなった。
「俺の方こそ悪かったよ。頭あげて?」
肩にそっと手を添える。頭を上げ顔を合わせた瞬間、どちらからともなく微笑みが生まれた。元々は愛し合い結婚した仲だ。しかもこれからやり直そうとしている一歩目だ。お互いにそこら辺は大人だ。状況は理解している。2人は並んでリビングに入る。
「ビール飲む??」
酒の力でも借りれば言葉もすんなりと出てくるかと思った瀬奈に進められ、有樹は瀬奈とビールを飲んだ。瀬奈が穏やかでいられるのは、有樹からあの忌々しい女の香水の匂いがしなかったからだ。あの匂いさえしなければ瀬奈は普通でいられる。失踪してた妻と浮気性の夫は穏やかに話をする事が出来た。
有樹は失踪してた時の事を敢えて聞かなかった。瀬奈もまだ浮気をしているのかどうかを聞かなかった。何て事のない会話をしながらビールを飲み酔っていく。
有樹が瀬奈の脇に座る。ビールが進み、少しいやらしい気分になってきた。淫乱な女もいいが、瀬奈のような真面目な女が見せるいやらしさも好きだ。正面から太股や胸元をチラチラ見ていると段々興奮してきたのだ。有樹は瀬奈の肩を抱き寄せ様子を見る。すると頭を寄せてきた瀬奈にイケる!、そう思った。有樹は右手をそっと太股に手を添えた。内股に少し力を入れた瀬奈だが、すぐに力を緩めた。有樹はゆっくりと瀬奈の太股に手を這わせる。
「有樹…、たまってる??」
「ん!あ、ああ…」
たまっている訳がない。毎晩のように優衣と遊んでいたからだ。そう答えた有樹だが、瀬奈はそんな事ぐらいお見通しであった。ただ、自分が戻って来るである日にあの女の元へ行かなかった事を評価した。浮気を知っていて自分が病気を耐えられるかが問題だ。瀬奈は成長する為に戻って来たのであった。
(私は負けない…。海斗や幸代さんがしてくれた事を無駄にしない…。)
瀬奈は、あの忌々しい女を撫でているであろう手で太股を撫でている有樹と心の中で必死に戦っていた。瀬奈は勇気をしぼり、太股を少しずつ開いて行くのであった。有樹の唇が重なってくる。侵入してくる舌、そしてスカートの中に忍び込んで来る手。内股をゆっくりを撫で上がり、そして海斗にたっぷりと愛された女の園へと到達するのであった。