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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 4.-9

「……好きだ。好きなんだ、有紗さん。やめて」
「それだけじゃ、だめなの」
 首筋の香りを嗅ぐ。いい匂いだ。「彼氏だって、私のこと、好きだよ?」
「有紗さんはっ……、俺のこと好きじゃないの?」
「好きだよ? 大好き。……好きだから、こんなとんでもないことする女になっちゃったんじゃん」
「じゃ……」
「だから、それだけじゃ、だめなんだってば」
 有紗は直樹のシャツを握って引き寄せた。傍の道路を通り過ぎていった大型トラックが起こした風が髪を乱す。道を行き交う人からも車からも見られているだろう。立ち止まって様子を伺っている者もいるかもしれないが、直樹に抱かれているから分からない。「……結婚、してほしくない?」
 直樹のせいだ。結婚するつもりなど微塵もないくせに、そう欺いて彼の焦燥を誘って決心をさせようとしている。
「当たり前だよ」
「……じゃ、私だけの直樹になってくれる?」
 顔を上げた有紗は妖美に満ちていたから慄いた直樹に、背伸びをして耳許に唇を寄せた。「私だけの直樹にしたいの。私以外の女に興味ない……、……私以外の女じゃ勃たない直樹になってほしい」
 街中でとんでもないことを言っている。本当に頭がおかしい女だと思われているかもしれない恐怖と闘いつつ有紗は耳朶をはんだ。まだ味がしない。
「……うん」
「なるの?」
「なるよ。……なってるよ」
 胸が震え始めた。もう一度耳朶をはむと、彼の汗の味がした。彼に接している場所を起点として体じゅうが潤い始める。
「……証拠見せて?」




 証拠を見せてくれた。愛美といる時の様子を電話で聞かせてくれ――あの男と同じ愚劣な行為を直樹は受け入れてくれた。絶頂のまどろみの中で、有紗は吐息を抑えられず鼻先を両手で覆った。ディルドは媚壺に刺さったまま、膣圧に絞り上げられて別の生き物のように蠢いている。
「……え?」
 直樹が愛美に確認している。
「知ってるよ。直くんが……、おっきくならない理由」
 愛美の指摘に直樹は何を思っているのだろうか。有紗との約束を果たし、心中で一安心していただろう直樹が、愛美の言葉に狼狽しているのは明らかだった。「なんで……、他に好きな人がいるのに、付き合ったの?」
「……それは」
 何のことだ、と白ばっくれるだけのふてぶてしさは、彼にはない。それが彼のいい所だ。そういった所がたまらなく好きで――、何だろう、この心地よさは。有紗はベッドに横たわったまま、体を宙を浮かせて愛美の顔を思い浮かべていた。親愛なる妹は、あの時と同じ顔を浮かべているのだろう。
 ――明彦は「報復と罪滅ぼし」などという意味のわからない言葉を吐いた後、これまで恥戯を繰り返してきたソファに座った。
「どういうことですか?」
 有紗も背を付いていた壁から離れた。部屋に入ってから立ちっぱなしだ。叔父との関係を知られたショック、しかし明彦が憤りを感じているという不慮。一気に訪れた混乱の波が有紗を疲れさせていた。ラグの上にゆっくりと座った有紗をソファから見下ろす明彦は、まるで静寂の境地から有紗を見守っていた。
「報復って私に対する……、ですか?」
「そう」
 座った拍子に乱れたスカートの裾を足に這うように引きながら有紗は問うた。無理もない。叔父には淫欲を満たすために体じゅうを弄ばれていたくせに、明彦には手で扱くことしか許さなかったのだから。一度だけ与えた背面の孔すら、実は信也の指示によるものだったと、すでにあの男から聞かされたのかもしれない。だが、それを咎めるならお門違いだ。恨むなら叔父を恨んで欲しい。
「でも、……明彦さんとしちゃってたら、……あの人がそれを知ったら、明彦さん、無事じゃなかったですよ、きっと」
「俺を守るために手でしててくれたの?」
 薄笑みで明彦は首を傾げた。「……ウソだよね?」
 見抜いてくる。だが嘘を言ったつもりは全くなかった。明彦と繋がっていたら、叔父は間違いなく彼に猜みの猛威を奮ったろう。彼にとっては幸運だった筈だ。
 明彦は息をついて暫く有紗が口を開くのを待ってたが、何も言えずにいるので途中で諦め、静かに言った。
「――アウトレット行った時にさ、見たんだよ、俺」
 見られていないと思っているほうが図々しいものだが、叔父から明彦と結婚しろと聞かされて忿然と詰め寄りにやってきたのに、予想だにしなかったこの指摘は、まず有紗に奇妙な呻き声を漏らさせた。「……トイレに行ったのに、建物に入っていかないなっていうのが見えてさ。後を追けてったんだ」
「ひどい……」
 そして漸く発した有紗の第一声に、明彦は真実驚いた様子で、
「どっちがだよ」
 と笑った。彼は直樹を呼び出して唇を吸ってもらっていた自分の姿を物陰から見ていた。有紗の頭の中に、壁の陰から海辺のベンチの二人を覗いた映像がまざまざと浮かんできた。妹の彼氏と抱き合い、キスをしている女。つい何分か前までは、彼氏とデートをする妹をからかい、自分も彼氏と仲良くショッピングに出かけてきたと素知らぬ顔で話していた女が、泣きすがりながらキスを求めている。明彦は知っていたのだ。その後、車で帰るために再合流し、四人で話している時も、車内で姉妹が険悪になって、大人ぶって宥めた時も。閑静な工場地帯の道端に停めたベンツの中で跨られて満緊の勃起を見せたのは、自分に対する純粋な尊崇ではなかった。埋立て島でだけではない、それ以降も、自分と直樹の関係を知った上で、今日まで何度となく淫りがわしい姿で手淫をさせて、精液を撒き散らしていたのだ。


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