甘-8
「昨日の噂聞いた?」
「いや」
自分の噂ぐらい把握しておきなさいよ。
なんて私も真樹に聞いたくせに得意げに王子に教えた。
「私が無理やりエントランスで王子をとっ捕まえて
居酒屋に連れ込んで、高飛車に手にキスをさせた事になってるのよ」
「へ・・・ぇ」
面白そうにニヤニヤと笑いだす。
「今日だってどんな噂をされてるやら・・・」
プッと笑いだして、私を抱きしめる。
「すみれさん。普段の行いですよ」
なんて王子の口調で笑いながらキスをする。
エセ王子が!
「そうだ。明後日から僕1週間ほど会社を休みますから」
僕はやめなさい。
「なんで?」
なんで?なんて聞く権利が私にはあるんだろうか?
「両親の呼び出しです。フランスまで行ってきます」
「まだご両親はフランスにいるのね。羨ましい」
中学までフランスで過ごした私は
フランスの方が日本よりも過ごしやすい面も多い。
「じゃぁ!小説を買ってきてくれない?」
ものすごくいい思いつきに自分を褒めたくなる。
「は?」
「私、今仕事が落ち着いてて、しばらくフランスに行かないのよ」
「あの?僕に女性向けの過激な官能小説を買ってこい!と?」
僕はやめなさい。
「このシリーズ!このシリーズが好きなの!お願い」
「そのシリーズが過激なんですね・・・」
悪い?