知られざる思い-1
7.知られざる思い
私は年末の夜、名古屋から帰ってきたシヅ子とベッドの上で抱き合っていた。夏に帰ってきて以来、欲しくて欲しくてたまらなかった彼女の身体は温かく、柔らかで、私は涙が出そうだった。
11月の終わりに届いたきり、ずっと途絶えていたシヅ子からの手紙がクリスマス直前に届き、わたしは狂喜乱舞した。その手紙に、年末には予定通りに帰ると記されていたからだった。
その夜、シヅ子は服を脱いでいる間なぜかひと言も話さなかった。私が何か問いかけても、うっすらと微笑みを向けるだけだった。彼女はベッドの上で私の腕に抱かれた時、ようやく口を開いた。消え入るようなか細い声で。
「アル、わたしにキスして」
その言葉で、爆発寸前にまで高まっていた身体の疼きが一気に解放され、私は夢中で彼女の唇を吸い、舌を絡め合った。彼女はぎゅっと目を閉じて小さく呻いた。
私は何を思ったか、いきなり彼女に言った。「今日は君の自由を奪ったままやりタイ。いいデスカ?」
シヅ子は少し驚いたようだったが、すぐにええよ、と応えた。
私は二人が脱ぎ捨てたバスローブの帯を一本ずつ拾い上げ、ベッドに仰向けにした彼女の両腕を頭上に上げさせ、ベッドの枕の先に立てられた柵にそれぞれ結びつけた。
下着姿のシヅ子が万歳の格好でその両腕を拘束されている姿を見て、私は激しく興奮した。そして乱暴に彼女が身につけていたランジェリーをはぎ取った。
私がどうしてその時彼女を拘束したいと思ったのか、無理に理由をつけるとすれば、シヅ子と離れて暮らしていることに苛立ちのようなものを感じていたからだと思う。いつもそばにいて欲しい、いつもその柔らかな肌に触れていたい、そういう気持ちが彼女を自分の元に繋ぎ止めておきたいという衝動に変わり、あんな行為に私を駆り立てたのかもしれない。
薄暗い部屋の中で、彼女の目にうっすらと涙が光っているのが見えた。
「このままでイイ?」
私が耳元で囁くと、シヅ子は大きく頷いた。そして小さく「アル……」と呟いた。
私は枕元の小さなプラスチックの包みを手に取り、中の物を取り出して自分のすでに硬く、大きくなったものに被せた。その久しぶりの行為も私の心を高ぶらせた。
それから私はシヅ子の秘部に舌を這わせながら、手で二つの膨らみを揉みしだいた。彼女は身体を大きくくねらせながら喘いでいた。
「アル、アル!」シヅ子は懇願するように頭をもたげ、私を見つめた。
「いくよ」
私はそう言って、少しずつ彼女の中に入っていった。
ううう、とシヅ子は呻いた。そして肘を曲げて、結びつけられた手の自由を求めるようにもがき始めた。
私はすでに大きく腰を動かしていた。そして一気に身体中が熱を帯びた。
「シ、シヅ子っ!」
そしてついに臨界点を越え、私は身体を大きく脈動させながら、奥深くに渦巻いていた熱い想いを思い切りゴムの袋の中に迸らせた。