おそとでエッチ-4
通話を終えると、ちょうど奈美がテーブルに戻ってきたところだった。
相変わらずうっとりと美山の横顔を眺めている。
「ねえ。見惚れてるところ悪いんだけど、ほんとにあの公園でいいの? 広いだけで、何もないところだけど」
「べつに見惚れてなんか……変なこと言わないでよ」
また耳まで真っ赤になっている。
面白い。
奈美の反応が何かに似ている、と思った。
ああ。
ユウだ。
ちょっとしたことに赤くなったり、照れて怒ってみたり。
たしかに、どちらも面倒くさいけど可愛らしい。
「で、あそこでいいのね? いつもわたしとユウが散歩に行ってる、あの公園」
「うん。あ、でも……美山さんが、嫌じゃなかったらでいいんですけど……」
「僕は何処にでも付き合うよ。だけど、どうしてその公園?」
「えっと、憧れっていうか……桃子がユウくんと一緒に公園で散歩する話を聞いて、それがなんだか羨ましくて。そういうの、男の人としたことないから」
「あはは、そうなんだ。ほんとに可愛いね、奈美ちゃんって」
ふたりの間には、見えないハートマークが乱れ飛んでいるようだった。
あーあ、もうばかばかしい。
「じゃあ、そろそろ出ようか。公園に着いたら別行動だからね、奈美」
「え、でも」
「大丈夫、美山くんがちゃんとエスコートしてくれるから。いつまでもわたしが一緒だったら、デートっぽくないでしょ?」
「うん、僕も奈美ちゃんとふたりだけで話がしたいな」
美山が軽く奈美の手を握って微笑みかけると、まだ不安そうだった奈美も照れくさそうにうなずいた。